一発逆転を狙う人ほど「きっかけ」をほしがる

──たとえば、35歳まであまりパッとしなかった人が、35歳あたりから大逆転する……といったケースはあると思いますか。

奥野:「何かが変われば大逆転できるはずだ」という思考法は、そもそも、自立していないことのあらわれだと思いますよ。

 何か大きな出来事が起きて、それで人生がガラッと一変するみたいなことは、ほとんどないじゃないですか。自分の人生に大きなインパクトを与えてくれる「特別な出来事」を期待している時点で、他人や社会、「自分以外の何か」に手綱を握らせちゃってますよね。「他が変わらないと大逆転できません」「大逆転させてくれるきっかけを探してます」じゃなくて、「いやいや、おまえが変われ」ということなんですよね(笑)。

──ああ、耳が痛い(笑)。自立できていないけど、いまからでもスキルアップしたい! という人は、何からはじめるといいでしょうか。

奥野:やっぱり、長期投資をやってみるっていうのは、私はすごくいい経験だと思います。実際に自分の資産を使って投資することで、社会を構造的に見る視点が磨かれる。依存状態の殻から、超簡単に踏み出せるのが、投資だと思います。「どっかの専門学校に入ります」とかより、ずっと簡単でしょ。学校に入るとなるとかなりのお金がかかるけど、投資は月500円の積み立てから始めてもいいわけですから。

 まあ、なのに、なぜか知らないけど、みんな間違えて、月3000円払って、なんちゃらサロンかなんかに行くわけですけど(笑)。

──(笑)。

奥野:まだ投資してないのに投資サロンに入るとかね、意味がないんですよ。そんなことやるんだったら、最初から3000円分投資すればいいんですよ。実地で、サロン並みのことが吸収できるわけです。よくわからないサロンに3000円払うのは怖くないのに、500円で株式投資するのがなんで「怖い」のかな。意味わかんないですよね(笑)。

──やっぱり、大逆転を狙う人ほど、「人生を変えたいから海外へ行く」とか「このサロンに入れば何かが変わるはず」とか、極端な発想になっちゃうのかもしれません。

奥野:人生に大逆転はないです。それは間違いのないことです。「何かが変わったら」っていう、他人に期待する姿勢をまずやめること。何かが変わるんじゃなくて、あなたが変わらないとダメですよね。