自習室はある?子どもが質問しやすい環境?

 次に塾のシステム(サービス)についてみていこう。

 今回、ママやパパたちに「塾を選ぶ際に知っておきたい情報は?」と訊くと、「自習室の有無。家では勉強をしないと思うので」「お弁当は必要か否か。お弁当を作るのは負担感があります」「クラスの人数。あんまり大人数だと、うちの子は集中できないと思う」「男女比。あんまり男の子ばかりでも、うちの娘は嫌になっちゃうかも」といったシステム(サービス)の問題であり、実はカリキュラムにはあまり興味がない。

 入塾前の段階ではママもパパも中学受験初心者である。自分が受験を経験していても昔のことは忘れているし、事情は全然違っている。そのため、説明会で「5年生の末までにすべてを終わらせ、その後は復習を繰り返します」といわれても、それにどういう価値があるのか微妙に意味が分からないはずだ。私も取材しはじめた頃はその手のカリキュラムの話をされてもさほど興味が持てなかった。

「5年生になると夜9時まで授業があります。休憩時間は10分なので、お腹が空く場合は軽食を持たせるといいでしょう。コンビニでパンやおむすびを買えばいいんですが、子どもは忘れるので親御さんが用意してあげるのがベストです」「夜は駅の改札まで講師が送ります」「質問対応は授業の前後ですね。講師は授業の30分前には教室に行きます。早く帰りたい生徒さんは授業前にいらしてください」……そういったシステムのディテールの方が知りたいはずだ。しかし、このシステムについては塾が説明しないので、ママやパパも説明会で聞きそびれる。

 中学受験経験者のママはいう。「私は受験生の時に自習室に入り浸りで勉強をしていました。なので自習室がない塾が存在するのを想像できなかったんです」

 東京は塾も家賃が高いので、自習室を作るスペースがないことも多いだろう。また、自習室を大人が管理をする必要がある。それはそれで手間がかかるわけだ。

 また、質問対応もチェックしたかったと話すママやパパも多い。御三家に合格した生徒のママはいう。「あれだけ宿題があれば分からない問題もありますよ」

 分からないところを講師が個別に教えてくれるかどうかは重要で、その対応には各塾で差がある。学生バイトがいつでも応えてくれる塾もあれば、授業の後に1問だけという塾もあるし、中には実質、質問対応がない塾もある。

 他にも「入塾させてみたら一クラスの人数が多くて、娘は集中できないようだった」という不満や、「振り替え授業がない」「面談の時間が短くて講師に相談がしにくい」といった愚痴もある。そのような「どこを確認するか」も前もって知っておくと失敗はない。