コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の業績において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度のファッションビル編だ。
パルコとマルイ、8~9月は2桁増収も透けて見える懸念
ファッションビルの主要2社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯パルコ(J.フロント リテイリング)のテナント既存店取扱高
7月度:前年同月比109.4%(9.4%増)
8月度:同122.5%(22.5%増)
9月度:同120.3%(20.3%増)
◯マルイ(丸井グループ)の小売取扱高
7月度:前年同月比94.0%(6.0%減)
8月度:同114.1%(14.1%増)
9月度:同114.3%(14.3%増)
両社とも、特に8~9月は前年同月比2桁増となっており、パルコに至っては20%超の増収となった。新型コロナウイルス禍を経て3年ぶりに行動制限のない夏になったことで客足が伸びた影響が出ている。
ただ、数字を時系列で詳しく見ていくと、とても楽観できる状況ではないようなのだ。その理由を次ページで紹介しよう。