丸井グループ(G)の2021年度決算は増収増益を達成した。けん引役は金融事業で、エポスカードは丸井Gの成長を左右する大黒柱になっている。しかし、エポスカードの右肩上がりの成長には“異変”が生じていた。特集『丸井 レッドカード』(全13回)の最終回では、エポスカードの“異変”や、「25年度850万人」という会員数目標に黄信号がともっている実態を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
丸井Gの21年度決算大幅増益
「エポスカード」が全社をけん引
「連結利益については前年対比で大幅増となり計画も達成した」
5月12日、丸井グループ(G)の2021年度決算説明会。加藤浩嗣CFO(最高財務責任者)はこう強調して胸を張った。
丸井Gの21年度の売上高は前期比1.5%増の2093億円。営業利益は同141.6%増の368億円で、増収増益を達成した。
セグメント別の営業利益に目を移すと、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で伸び悩んだ小売事業は20億円(同33%増)。
一方、クレジットカード「エポスカード」を中心とする金融事業の営業利益は同104%増の412億円とほぼ倍増。カード取扱高は3兆0760億円と過去最高を記録し、エポスカードが丸井Gの好決算のけん引役となっている(本特集#2『丸井がコロナで大赤字の百貨店に圧勝した理由、「小売りの異端児」のビジネスモデル詳解』を参照)。
ところが、決算書に記されたエポスカード関連の実績値を追うと、右肩上がりの成長に“異変”が生じ、丸井Gの稼ぎ頭の先行きに黄信号がともっていることが分かる。
次ページ以降では、エポスカードに生じた異変と、丸井Gが25年度に描く業績目標の達成が早くも困難になりつつある実態を解説していく。