不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】何をやっても「うまくいく人」「ダメな人」を分ける“決定的な違い”

諸悪の根源は“我慢”

ダイエットや英会話の勉強で、挫折してしまったことはありませんか? 我慢は続けられるものじゃありませんが、ずっと我慢し続けようとする人がいるんですよね。

いったんはじめたけれど挫折する…を繰り返すような人を対象にして、長期・安定的な需要を見込むビジネスは“挫折産業”と呼ばれたりします。それがダイエットや英会話のスクールや教材だったりするんですね。

多くの人がやりたがる割には、うまくいかない。そこに挫折産業としての長期・安定的な需要があるわけです。よくよく考えてみると、なぜ挫折を繰り返してしまうのかというと、我慢しようとするからなのです。

避けられない我慢には“出口戦略”が必要

なにかをしようとするとき、「我慢しないと達成できない」と思い込んでいる人がたくさんいるんです。我慢し続けても結局、うまくいかないので挫折する。それを繰り返すというわけです。

そもそも我慢するっていうことは、基本的には楽しくないことですよね。楽しくないことを続けようとしても限界が訪れるので、やめてしまうわけです。やめること、それはすなわち挫折するということの繰り返しにつながってしまうのです。

ときには我慢しなきゃいけないこともあります。ところが、我慢し続けるというのは、しょせん無理筋な話なんです。我慢するにしても、どの時点で我慢をやめるべきかという“出口戦略”を頭のなかで描いておいたほうがいいでしょう。

出口戦略で大切な“2段構えのコンセプト”

けっこうお腹が出っ張ってきて、健康診断でメタボリックシンドローム(メタボ)の診断基準に引っかかり、ほかの数値も悪化してしまった…ということでダイエットをするとしましょう。

メタボの診断基準は、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上というのが、1つの目安になっています。そこで、ダイエットをしてそこまでお腹が凹んだら、いったん我慢するのをやめて、その体重をキープする戦略に切り替える。

つまり、我慢する必要があるならば、その我慢をいつまで続けるという出口戦略を決めておく。そして、出口を迎えたら、我慢しなくてもいいように工夫する。このシンプルな2段構えのコンセプトを持っておくといいでしょう。

楽しみを見出して我慢を続けない

我慢して厳しいカロリー制限なんかを自分に課して一気に痩せようとしても、挫折してリバウンドを招きやすいです。目標の数値によって、3ヵ月なり半年なり、場合によっては1年かけて自分にとって無理のない、ある程度の中長期的な計画で、そこそこの我慢にとどめることも大事です。

目標の腹囲に到達したら、それ以上我慢してダイエットするのをやめる。そして、料理を工夫したりとか、軽い運動を趣味にしたり、そんなに苦痛じゃなくなるようなやり方に変えてキープしていくわけです。

その過程で運動の習慣がついたりして、新しい楽しみが発見できたりするかもしれません。こういうふうに物事がうまくいく人っていうのは、ひたすら我慢をするようなことをしない。そこに限度や期間などの出口戦略を持っておくということです。そして、楽しみを見出そうとする。ずっと我慢するという前提で、物事を計画してはいけないのです。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。