うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!

【会話の落とし穴】相談されたのに、いつの間にか相手の話を奪っていませんか?Photo: Adobe Stock

まず、相手の話に共感しよう

【会話の落とし穴】相談されたのに、いつの間にか相手の話を奪っていませんか?

<NG>私も同じこと言われたことある! 私のときはね…

<GOOD>そっか~、それはショックだね

 同僚に悩みを打ち明けたら、いつの間にか相手の話を聞かされていた、という経験がある人もいるのではないでしょうか。一番相談しやすい同僚に話をするときは、励ましてほしいとき、勇気づけてほしいとき、慰めてほしいとき、と様々な状況があると思います。

 私たちは、自分のミスかもしれないとわかっていても、「仕方なくこういう判断をしたんだ」「いつもそうしないのに、今回はこういう理由でこの対応をしたんだ」と、どこかで自分を正当化したいものです。そして、特に同僚には「それで良かったんだよ」と受け止めて「共感」してもらいたいと思っていることも多いのではないでしょうか。ただただ話を聴いてほしいから相談するのです。

「このあいだ、上司の○○さんに、こんなこと言われてすごいショックだったんだ」と話したら、「そっか~、それはショックだね」と、まず共感してほしい。

 共感をすっ飛ばして、すぐさま「ああ、私も同じこと言われたことある! 私のときはね…」と、自分の経験談を話し出せば、「あなたの話」になってしまい、話を奪ってしまうことになります。もちろん、その経験談からヒントが得られたり、参考になる対応策が見つかったりすることもあると思いますが、「話を聴いてもらった」というスッキリ感は得られません。

 相談を持ちかけられたときは、まずは自分の話は横に置いて聴く。そして「そっか~、それはショックだね」と気持ちを汲み取った「共感」の言葉を返す、という心遣いを持ちましょう。

※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。

比嘉華奈江(ひが・かなえ)
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作