うっかりした一言で職場の空気を凍らせてしまった経験は、誰だって一度や二度はあるでしょう。その言葉を受け取った相手の気持ちを想像すれば、もっと別の素敵な言い方があったはず!『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』(ダイヤモンド社)では、対上司、対部下、対同僚、対お客様…それぞれの場面別で話し方の失敗例と成功例を解説しています。コミュニケーションの現場で揉まれてきた元客室乗務員が教える「魔法のフレーズ」集から、すぐに使えるものをピックアップしてお伝えします。コミュニケーションひとつで職場の雰囲気は明るくなり、あなたもきっと信頼される存在になれる!

【営業の極意】ダメな営業部員がつい言ってしまいがちな一言Photo: Adobe Stock

自社の都合を押し付けてはいけない

【営業の極意】ダメな営業部員がつい言ってしまいがちな一言

<NG>これがイチオシです!

<GOOD>お客様が一番大事にしたいことは何ですか?

 あるハウスメーカーさんで、営業力の研修をしたときのことです。そのハウスメーカーさんではその時期「シンプルでスタイリッシュな家づくり」に力を入れていて、自社のイチオシにしていました。営業担当の皆様はその商品に自信があり、お客様に一生懸命おすすめしていました。実績もたくさんありますが、最初のヒアリングからの成約率がなかなか伸びず悩んでいました。

 どんなふうにお客様と会話をされているのか詳しく聞いてみると、お客様がいろいろと希望を話してくださるのをまず聞いて、その後は、シンプルでスタイリッシュな家づくりの提案をしているということでした。

「成約しなかったお客様たちは、一言で言うとどんな家をつくりたいっておっしゃっていたか覚えていますか?」と聞いてみると、なんと、答えられる方はいなかったのです。

 では、お客様のたくさんの希望を聞いた後、「今回の家づくりで、一番大事にしたいことは何ですか?」と聞いてみてください。そこで、お客様から出てきたキーワードと、自社でできることをつなげたご提案をしてみてください、とお伝えしたのです。

 数ヵ月後、「比嘉さん、やりました! あの質問をしたら、お客様が一番は温かみを大事にしたいとおしゃったんです。だから、温かみ×シンプル・スタイリッシュで提案したら、見事決まりました!」と。お客様が何を一番大事にしているかを、まずは最優先することです。

※当記事は、『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』から抜粋・編集したものです。

比嘉華奈江(ひが・かなえ)
株式会社Life is Love代表取締役。日本コミュニケーション能力認定協会本部トレーナー/上級トレーナー
大分県出身。1998年、沖縄へ移住。日本トランスオーシャン航空株式会社にて14年間客室乗務員として勤め、安全と顧客満足の追求、そしてチームづくりは人づくりであることを現場で学び・実践。2012年、沖縄では初となる働き方改革コンサルティング会社を設立。「あらゆる多様性を可能性に変える」という理念のもと、組織開発コンサルティングや次世代リーダー育成、チームビルディングなどの実績多数。またダイバーシティや女性活躍推進などの研修も行う。クライアント企業は医療・不動産・観光・製造販売・IT通信・エネルギー・保育・建設など多岐にわたる。企業支援数500社以上。登壇回数は2000回を超える。『上司に信頼される話し方 部下を傷つけない話し方』がデビュー作