昨今、ブーム到来といわれるシニア向け分譲マンション。その選び方のコツは、「駅近」や「学区」などといったファミリー向けマンションのそれとは大きく異なる。特集『老人ホーム・サ高住・シニア分譲マンション 50代も必見!シニアの住まい選び』(全5回)の#4では、後悔しない物件選びのポイントについて、業界関係者たちに本音で教えてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
●A氏 シニア向け分譲マンション・分譲A社幹部
●B氏 シニア向け分譲マンション・分譲B社幹部
ブーム到来のシニア向け分譲マンション
背景に人口構造と高齢者の意識変化
――近年、シニア向け分譲マンション市場が急拡大していますが、その理由をどう分析していますか?
A氏:シニア向け分譲マンション(以下、シニア分譲)って、少し前まであまり“市民権”がない中で事業を行ってきた気がするんです。しかし、この5年くらいで一気に市民権を得たなと強く感じていますね。
背景としては、当然ですが高齢者人口が増えているということがある。2010年前後に団塊世代が65歳を超えて高齢者になり、目下、後期高齢者になろうとする中、ターゲットとなる年齢層のボリュームが増えているわけです。片や、ファミリー向けマンションの方は、ターゲットである現役世代の人口が少しずつ減っているわけじゃないですか。
この人口構造の変化を前提に、マンション事業者の視点から言うと、「ファミリーマンションが少し売れなくなったじゃん。だったら、他の特徴を付けようぜ」という会社もあると思います。そんなに簡単じゃないですけどね。
B氏:かつての高齢者の住まいといえば、古い自宅に可能な限り住み続け、介護が必要になって施設に移るという、古い自宅と介護施設の「2択」の世界でした。
しかし、健康寿命が延び、シニアになっても働く人が増えたことで、古い自宅と介護施設の“間”をつなぐ新たな住まいへのニーズが高まっているんだと思います。そのニーズをシニア分譲が担いつつあるというのが現状なのかなと。
A氏:加えて、個人的に大きいと思っているのは、高齢者世代の価値観が変化したことです。団塊世代より少し前までの世代であれば、一戸建て住宅に最後まで住み、口にこそ出さないまでも子供に同居を期待して……みたいな価値観を持つ人が相当数いらっしゃったと思うんです。しかし、団塊世代の方は自立して高度経済成長期を支えた方々なので、自身の最後も自己決定をしようという思いが強いと感じます。
あと、これはシニア分譲に限らずですが、そもそも高齢者住宅に引っ越すこと自体への抵抗感が年々薄れてきている気がしますね。
――高齢者住宅への抵抗感が薄れるような何かしらの転換点があったのですか?
A氏:サ高住(サービス付き高齢者住宅)の制度ができた11年は、転換点の一つだったと思います。またシニア分譲においては、この5年でリバースモーゲージ型住宅ローンに大手銀行が取り組み始めて、一気に購入しやすくなったというのは大きいです。
――地域別にシニア分譲の供給を見ると、2000年代は関西エリアが主でしたが、10年以降は首都圏が台頭しています。なぜでしょう?