「シニアマンション」や「有料老人ホーム」といったシニア向け住宅を探す高齢者が増えている。介護施設に入るのはまだ早い。そんな人にはどんな選択肢があるのか。特集『絶対安心!老後の住まい』(全9回)の#7では、「終の棲家」4種を○と×、費用で徹底比較した。(ダイヤモンド編集部)
サ高住の登録戸数は
全国に25万6000戸!
奥さんに先立たれた。子どもは独立して戻らない。家事は妻に任せっきりだったので、食事を作るのも面倒だ。介護施設に入るのはまだ早いし、抵抗もある――。
そんなあなたが高齢者向けの住宅に移りたいなら、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)が有力な選択肢になるだろう。
サ高住は最低限、安否確認と生活相談のサービスが付いているバリアフリーの賃貸住宅。そのほとんどで食堂設備があり、介護職員が同じ建物に常駐していることが多いため、見掛け上は介護付き有料老人ホームに似ている。
だが、あくまでも賃貸住宅であり、利用権方式の有料老人ホームとは違う。多額の入居金が不要であり、退去もしやすい。
制度化された2011年末では全国で数千戸にすぎなかったが、20年6月末には登録戸数は約25万6000戸にも及んだ。ここ数年は微増で落ち着いているが、国が税制面で積極的な後押し策を展開し、大手住宅メーカーが土地活用の一環で営業を強化したことから、地方でも建設が急増した。
ただし、その9割は介護専用の物件である。居室面積は18平方メートル台で、まだ自分で身の回りのことができる高齢者が、自宅から住み替えたくなるような物件はかなり少ない。介護サービスが外付けの賃貸住宅とはいえ、居住者側からしてみれば実態はほぼ介護施設で、どうしても抵抗感がある。
次ページでは、サ高住に加えて、シニア向けマンションや介護付き有料老人ホーム(自立型)、シニア向け賃貸住宅という「終の棲家」4種について、メリット・デメリットや費用で徹底比較した表を大公開。さらに、日本で唯一のシニア専用「アクティブタウン」の実情もレポートする。