ビールPhoto:PIXTA

コロナ禍からの収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度のビール編だ。

キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ
9月はコロナ前と比べても好業績だが…

 ビールの主要4社が発表した7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯キリンビール(キリングループ)のビール類計販売数量
 7月度:前年同月比91%(9%減)
 8月度:同106%(6%増)
 9月度:同144%(44%増)

◯アサヒビール(アサヒグループホールディングス〈HD〉)のビール類計販売金額
 7月度:前年同月比102%(2%増)
 8月度:同134%(34%増)
 9月度:同156%(56%増)

◯サントリー(サントリーホールディングス〈HD〉)のビール類計販売数量
 7月度:前年同月比100%(増減なし)
 8月度:同120%(20%増)
 9月度:同149%(49%増)

◯サッポロビール(サッポロホールディングス〈HD〉)のビール類計販売数量
 7月度:前年同月比102%(2%増)
 8月度:同121%(21%増)
 9月度:同164%(64%増)

*「ビール類」とは、ビールに加えて発泡酒や新ジャンルを含む呼称
*アサヒの月次業績データは数量ベースではなく「金額ベース」

 22年8~9月において、今回取り上げる4社全てが前年実績を超えている。特に9月は前年同期比で各社が50%前後の増加となっており、絶好調に見える。新型コロナウイルス禍で大打撃を受けたビール業界だが、本当にそれほどビール各社の業績は回復しているのだろうか?

 実はこの数字の背景には、大増収を演出した「特殊要因」があった。

 そこで、コロナ前の業績と比較した「実態値」を確認しながら、真の回復に至っているのかどうかを確認してみよう。