短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。
東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。発売前から「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題なのが注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を初公開する。
チャンスに気づく人、
気づかない人の差
これまで紹介した、「10回に1回の法則」を読み、
「いや、そんなことを言われても、チャンスはしっかり見極めないと!」
と思っている人がいるかもしれない。
そんな人に知ってほしいことがある。
「一発一中」を狙いすぎると、いつの間にか終わっているということだ。
「世の中にはチャンスがくる人、こない人がいる」と思っている人が多いが、大間違い。
「チャンスに気づく人と気づかない人」がいるだけだ。
若い頃に出会った起業家仲間のAさん(女性)は、写真やビデオ撮影の事業を起こす準備をしていた。
しかし、Aさんはそういった仕事は未経験だった。
にもかかわらず、あるときAさんのもとに、これからデビューする女性タレントのプロモーションビデオ撮影の依頼がきた。
私はこんなラッキーな話は当然受けるだろうと思ったが、Aさんは浮かない顔をしていた。
「未経験の私にこんな話がきたのには『裏』がある。
女性タレントは水着撮影が恥ずかしいから女性カメラマンに撮影してほしいと言った。
業界に女性カメラマンは少ないから私のような素人に話がきた。
それにタレントのプロモーションビデオなんて本当にやりたい仕事じゃない」
あなたに失うものはない
それを聞いて、私は反論した。
「未経験のあなたにいきなり商業用ビデオのオファーがくるなんて奇跡のようなビッグチャンス。
これを受けたらあなたの作品が世に出る。
経験も積めるし、実績もできる。
それによって人脈ができ、あなたのホントにやりたい仕事につながるかもしれない。
仮に100%思うような仕事でなくても、あなたに失うものはない。
まずはチャレンジすればいいじゃない」
しかし、Aさんはそのオファーを断った。
1年後、その女性タレントは「癒し系タレント」として大ブレイク。
誰もが知る「時の人」となった。
結局、未経験のAさんにはその後、仕事のオファーがくることはなく、廃業した。
もしあのとき仕事を受けていたら、「あのタレントのファーストビデオ作品を撮った」という実績をもとに映像の世界で大活躍し、Aさんの人生も大きく変わっていたかもしれない。
(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)