短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。
東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。発売前から「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題なのが注目の新刊『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を初公開する。

アルゴリズムPhoto: Adobe Stock

短時間で成果を上げ続けるための黄金法則

 私は2000年に、当時住んでいた大阪の自宅マンションで、たった一人で、しかもたった1万円を元手に、北海道の特産品のネット通販事業をスタートした。

 2002年に「株式会社北の達人コーポレーション(当時社名:株式会社北海道・シーオー・ジェイピー)」として法人化。

 現在は健康食品、化粧品の自社ブランド「北の快適工房」のネット販売が主業務になっている。

 手元資金1万円でスタートした事業が15年後に東証一部(現東証プライム)に上場。

 時価総額は最高時には1000億円を超えた。

 当社の従業員一人当たり利益は、トヨタ自動車、NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループなどよりも高い2332万円(2019年12月~2020年11月期の東証一部上場企業の有価証券報告書をもとに著者調べ)。

 コロナ禍でやや下がったとはいえ、営業利益率は21.9%(2022年2月期)。

 これは全業種の中でもかなり高い部類に入る。

 なぜたった1万円で、一人で創業した会社がここまで成長したのか?

 なぜ当社の社員たちは、名だたる世界企業に勝るとも劣らない生産性を発揮しているのか?

 その秘密が、短時間で成果を上げ続けるための黄金法則

 成果=スキル×思考アルゴリズム

 にある。

 そもそも「アルゴリズム」とは一般にプログラミング用語で、「問題を解く手順」とされる。

 多くの問題はアルゴリズムを活用すれば効率的に解ける。

 ただ、同じ問題をコンピュータに解かせるにしても、効率のよいアルゴリズムを使うのとそうでないアルゴリズムとでは、圧倒的な差が生まれてしまう。

 仕事も同じだ。

「思考アルゴリズム」とは?

 実は、本書のテーマである「思考アルゴリズム」は、すでにあなたの頭の中にある。

「思考アルゴリズム」は私の造語だが、「考え方のクセ」と言い換えたらわかりやすい。

「無くて七癖あって四十八癖」と言うように、「考え方」は人それぞれ。

 困難に直面したとき、対処法は人それぞれ違う。

「これは無理だから仕方がない。やってもムダだ」

 と考える人もいれば、

「これをクリアするにはどうすればいいだろう。

 やるだけムダかもしれないがやってみよう」

 と考える人もいる。

 できるかどうかはわからないが、前者が解決できる可能性は0%であるのに対し、後者は何%かの可能性がある。

 大切なのは、こういった出来事に対する日々の判断の積み重ねが、成果を大きく左右しているということだ。

 後者の成功率が10%とした場合、同様のことが10回起きたら、スキルが同じだったとしても、前者は相変わらず何も成し遂げていないが、後者は少なくとも一つの成果を出している。

 つまり、同じスキルでも、成果が上がる「考え方のクセ」と、上がらない「考え方のクセ」が確実に存在するということである。

「考え方のクセ」は
新たにインストールすればいい

「考え方のクセを変えろ」と言われても、「考え方のクセ」は自覚できない。

 自覚できないものは変えられない。

 だから、「考え方のクセ」は変えなくていい。

 努力して磨かなくていい。

 新たにインストールすればいいのだ。

 パソコンのOSのように、あなたの脳に「正しい思考アルゴリズム」をインストールすれば、誰でも短時間で成果を上げられるようになる(▼図表1)。

【成果を出している人は知っている】地頭よりスキルより大切なもの

 この本では一流の上司の代わりとして、どんなことが起きても対応可能な武器を伝授するつもりだ。

 (本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)