米ツイッターを買収した起業家イーロン・マスク氏は、長時間の激務か退職かの選択を迫ることで、社員に求められる基準をリセットした。社員へのあからさまな最後通告は、世界有数の時価総額を誇る企業を構築してきたマスク氏の「モーレツ」な働き方に沿ったものだ。ツイッターは「マスク氏が守り、改革していくブランドであり、同氏が経営するビジネスだ。要はそういうことだ」。雇用法を専門とする法律事務所ミンツのパートナー、ジェン・ルービン氏はこう指摘する。「マスク氏は社員に対して、自分の指揮下で目指す企業文化に加わる用意があるか、なければ会社を去るよう選択肢を提示した。基本的にまずいことは何もない」とはいえ、経営コンサルタントの間では「マスク流」にはリスクを伴うとの指摘も多い。かつて社員への厳しい姿勢で知られた企業でも、燃え尽き症候群に対する懸念に対応しようとする動きが出ているためだ。