米国の仮想通貨交換業大手FTXトレーディングが、経営破綻した。顧客資産の流用など創業者によるずさんな内部管理が原因とみられ、暗号資産全体の価格が暴落するなど影響は大きい。日本でも、コインチェックで個人情報の取り扱いなどに不備があることがダイヤモンド編集部の取材で明らかになった。日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の廣末紀之会長(ビットバンク社長)に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
実は日本でも大口顧客だったFTX前CEO
「テスラトークン」などばくち的商品も
――FTXトレーディングの破綻は、サム・バンクマンフリード前CEOのための投資会社であるアラメダ・リサーチに融資したが回収不能となったり、顧客資産の流用が指摘されたりするなど、ずさんな運営が問題視されています。
アラメダは2017年に設立された会社で、トレーディングをなりわいにしてきました。当時は同じ暗号資産の1単位当たりの価格が日米欧の各国で最大20%程度異なっており、アラメダはここに着目してアービトラージ(金融商品を安く買って高く売り、サヤを抜く手法)をやっていました。
日本でも取引しており、私が創業し社長を務めている暗号資産取引所のビットバンクの大口顧客でもありました。各国で資金を高速回転させ、収益を上げていたのでしょう。
その後、バンクマンフリード前CEOが設立した暗号資産交換業のFTXには、アラメダで培われたトレーダー目線が生かされており、人気を博するようになりました。
ただしそれは、グローバルで規制を逃れた“やりたい放題”が可能になる、という意味でもありました。