インドのベンガルールで2014年9月、伝統衣装を着たアマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏がトラックの上に立ち、20億ドル(現在の為替レートで約2770億円)の小切手をちらつかせていた。米国の巨大企業アマゾンがインドに抱く野心の行き過ぎたデモンストレーションだった。それから10年足らずの間にインドにさらに数十億ドル投資してきたが、同国の規制当局が米国の巨大IT(情報技術)企業に対して一段と厳しい見方をする中、アマゾンはインドへの忍耐力を失いつつあるのかもしれない。アマゾンは先頃、インドで展開する三つのベンチャー事業(食品宅配、教育のデジタル化、卸売りの電子商取引サイト)を閉鎖すると発表した。これら小さな子会社の閉鎖は、一見すると大きな敗北のようには見えない。だが、卸売り電子商取引からの撤退は重要だ。少なくとも当面は、「キラナテック」分野でウォルマート傘下のフリップカートやリライアンスの後塵(こうじん)を拝することを意味する。