景気減速懸念を背景に米大手企業で相次ぐ人員削減は、通常のパターンと異なる様相を見せている。今回の特徴は、ホワイトカラー労働者が真っ先に、そして最も深刻な打撃を受けていることだ。IT(情報技術)や法律、科学、金融などの分野で専門職の需要が急減。新型コロナウイルス流行下でスタッフを増員したテック企業などは、プロジェクトの終了や縮小に伴い、新規採用を抑えたり、人員削減に踏み切ったりしている。アマゾン・ドット・コムは、小売りや端末、人事などの部門で従業員の約3%にあたる1万人の削減を計画する一方、数十万人に上る倉庫作業員はほぼ対象外だという。フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズは、従業員の13%にあたる約1万1000人を削減するが、対象は人材採用チームとビジネスチームに集中する。フォード・モーターやウォルマート、スウェーデンの衣料小売り大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)でも、生産や小売りの現場で働く人々ではなく、給料制のオフィス勤務者が標的になっている。