ウォール街が年末にかけて上昇気流に乗る中で、原油市場が取り残されている。インフレが天井をつけたとの期待から、足元では株・債券が大幅な値上がりとなる一方、原油は年初来安値から辛うじて持ち直した水準で低空飛行が続く。足かせとなっているのは、世界経済の減速による需要減退への懸念だ。週明け5日は、中国による徹底した新型コロナウイルス対策の緩和やロシア産原油への価格上限発動で、序盤こそ買いが先行したものの、その後は急速に失速した。中でも、原油価格とエネルギー株との明暗が鮮明だ。エネ株は年初来、7割近い値上がりとなるなど、株式市場全般が厳しい状況に見舞われた今年、好調ぶりが際だっている。原油相場はロシアによるウクライナ侵攻を受けていったんは跳ね上がったものの、その後はピークから約35%下落し、ほぼ横ばいまで押し戻されている。にもかかわらず、エネ株の上昇に息切れ感はまだ出ていない。