ゆがみの傾向を知ることは、何よりも大切
――ところで「自力整体」は、矢上さんのお父様で、関西を拠点にカリスマ鍼灸師・整体治療家として活躍されてきた、矢上裕先生が考案されたものですよね。
矢上:はい。私の父が治療家として施術してきた中で、効果の高い施術を自分自身でおこなえるように改良し開発したものなんです。たとえば父は治療家時代、施術をしたとき、「こういう刺激をすれば、その人の肩の痛みが治った」とか、「ここにこういう指圧をするいい」とか、「ここに針を打ったとき、このように緩和された」というデータを、すべて記録していました。その治療を、誰もが自分自身でおこなうなら、どういう動きが最適かを、分析・研究して集めてきた結果が、この「自力整体」なんです。
――「自力整体をする」ということは、鍼灸師・整体治療家の矢上裕先生の施術を受けることと同じと言えますね。
矢上:そうとも言えます。だからこそ、一般的なヨガやストレッチなどより、効果的に痛みやコリの緩和によいのだと思います。
――『すごい自力整体』の中には、自分自身のゆがみに気づく「ゆがみ診断」コーナーもあり、とても役立ちました。ちなみに、ゆがみを放置すると、どんなことが体に起こりますか?
矢上:人間の体には、つねに正しい位置に戻りたいという本能があります。たとえば、骨盤の左右の高さがアンバランスにゆがんでいる場合。左右の位置が違うと、つねに体が「これは間違っているから、ここに戻りたい」という力が働きます。すると、そこに緊張やコリが生まれて、それが長引くと、コリ、痛み、重だるさ、冷え、むくみ、疲れなどの不調を抱えた状態で過ごすことになる。病にもつながることもあります。
――生活の質の向上のためにも、早めにゆがみに気づいたほうがいいですね。
矢上:ゆがみの傾向を知ることは、何よりも大切です。日常でも、たとえば肩甲骨が右に下がっていたら、なるべくバッグや買い物袋は左手で持とうとか、ゆがみを改善する意識も生まれますから。
――「自力整体」では、ゆがんでいる場所や、痛みやコリのある部分を、重点的にほぐすイメージでしょうか。
矢上:いえ、ゆがみ、痛みやコリというものは、一箇所だけを見ているだけでは直らないんです。「全体」として見ていくのはとても大切なことです。
――具体的に、何をおこなえばよいでしょうか?
矢上:自力整体では、「骨盤の調整」を最も重要視しているんです。なぜなら骨盤は人体の骨格のベースであり、とくに「骨盤のゆがみ」は全身に影響するからです。私たちの骨は、すべて骨盤からつながっていますよね。骨盤がゆがめば、頭、首、背骨、腕、脚の骨のどこかもアンバランスになり、その部位の筋肉は、つねに緊張を強いられ、痛みや不調につながります。
――極端な言い方をすれば、骨盤さえ整えれば、他はなんとかなりますか?
矢上:そうとも言えます。もちろん、他の理由もあって当然ですが、まずは骨盤を意識してほしいです。骨盤がゆがむから、他の部分もゆがむわけですから。
――骨盤のゆがみを放置すると、どんな不調が起こりやすいでしょうか?
矢上:やがて歩行困難、排尿障害など、日常生活に支障をきたすこともあります。女性の場合は、月経前症候群(PMS)や重い生理痛、不妊、難産、更年期の不調が出やすくなります。男女にかかわらず、日ごろから骨盤のゆがみを点検・調整し、さらに骨盤をしっかり支えるために、骨盤周辺の筋肉を強化しておくことが大切です。
――骨盤のゆがみを調整する、おすすめのワークはありますか?
矢上:『すごい自力整体』の中で紹介している、「20分間ショートレッスン」(動画付き)は、骨盤のゆがみを調整する自力整体です。しばらく続けてみてくださいね。
【次回に続く】
『すごい自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています。(★一部動画でもご視聴いただけます)