「弱い円」が定着すると、資産運用法も変えざるを得なくなる。さらに、2024年からは少額投資非課税制度(NISA)で投資枠が拡大される方向だ。特集『貧国ニッポン 「弱い円」の呪縛』(全13回)の#6では、投資信託選びのプロであるファンドアナリストに、現状からの円安や円高の両シナリオに加え、投資を始める年齢や経験、熟練度別におすすめの投資信託46銘柄を厳選してもらった。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
円安は日本円の価値の下落を意味する
NISA拡充で生涯投資枠は1800万円に
個人金融資産の過半を現金が占めてきた日本の家計。だが今年は1ドル=150円を超え、およそ32年ぶりの円安を記録した。これはドルに対して円の価値が大幅に減ったことを意味する。
また今年は円以外の通貨が高騰し、円の“独歩安”という状況となった。年末には日本銀行による唐突な長期金利の変動幅の見直しもあって、1ドル=130円台に落ち着いたものの、過去と比べればまだまだ強い円安傾向であり、このまま現金で保有し続けることもリスクとなり得る。
また政府・与党が取りまとめた税制改正大綱で、少額投資非課税制度(NISA)は2024年から拡充されることになった。現在120万円の投資枠が240万円に増え、非課税期間は無期限になる。「つみたてNISA」の投資枠を合わせると、年間360万円の投資が可能だ。
結果、生涯投資枠は1800万円に広がり、老後を支える一助とするならばその規模は極めて大きく、活用しない手はないだろう。投資枠の拡大などは24年開始と約1年の猶予があるが、投資の初心者は今から少しずつ経験を積んでおいてもいいだろう。
一方で、円安傾向は今後も続く可能性はある。そして、株式市場を見通すのは簡単ではない。では、そうした状況で資産を運用するにはどうすべきか。
そこでダイヤモンド編集部では、代表的な運用商品である投資信託に着目。モーニングスターに現状よりも円安か円高シナリオでおすすめの投信を紹介してもらった。また、楽天証券には、初心者、シニア、熟練度が高い投資家の3パターンでおすすめの投信を選んでもらった。
次のページでは、円安時代でも専門家おすすめの投信計46本を紹介する。