・4バックを5バックにするだけでドイツが攻められなくなる
▶一人ひとりのやることが明確になることで組織は機能する
▶︎仕事のプロジェクトも同じ。曖昧な役割が明確になるように意識しよう
「・」をつけた2つのメモが、自分が面白いと思った情報、出来事です。
その下の、▶をつけて書いたところが「気づき」になります。
どこが「事実」でどこが「気づき」かわかるようにするのがメモのコツです。「▶」「★」「◎」など、気づきには何か印をつけておくといいでしょう。
面白いと思った事実としての情報だけをメモしても、単に「ドイツ戦の後半、システムを4バックから5バックに変えて上手くいって良かったねえ」という雑談ネタにしかなりません。
しかし、それに自分が感じた気づきを書くことで「なるほど、臨機応変に動く組織でもある程度の役割分担は明確にしないとダメなんだな。自分がマネジメントしているプロジェクトの役割分担は大丈夫だろうか?」と、他のことに参考にできる知識として吸収できるようになるわけです。
もう1つ例を紹介しましょう。あるオンライン記事を読んでいて、トヨタには「時間は動作の影である」という言葉があるという情報を目にしました。
これも面白い表現だなと思い、次のようにメモしました。
▶応用が利く表現、「信頼は約束の影である」「売上は提案の陰である」
「時間は動作の影である」とは、トヨタのカイゼン文化に根づく表現ですが、普段の仕事においても、オフィスの電気を消すなどして残業時間を無理に減らそうとするのではなく、惰性でやっている仕事の内容を棚卸しして見直すことが大切だと気づけます。
同じように、信頼関係が大切だとメンバーに伝えるよりも、一つひとつの約束やルールを守ることが信頼につながるといった方がやることが明確になります。
売上をあげろと指示しても、無理な値下げや確率の低い案件に時間を割くなどの行動になりかねませんが、提案の質をあげ受注確率をあげる方法を考える方が健全に売上アップにつながります。
トヨタは流石だよねと感心するだけでなく、自分なりの気づきに昇華してメモしておくことで、仕事で使えるヒントが増え、自分の考える力も高まっていくわけです。
「気づき」をどのように書けばいいのか
そうは言っても自分は何か気づくかな? と思いますよね。
「気づき」と言うと、何か「インスピレーションを得た」とか「アイデアを思いついた」みたいなイメージをするかもしれません。しかし必ずしもその必要はありません。
大袈裟に考えず、「自分が思ったこと、感じたこと」をメモするだけでいいんです。大切なことはピピッと来た情報に対して、自分の感じたことを言語化することです。
たとえば、
▶夏場はいつも目標未達になる、攻め方を変えるべきか?
▶嬉しい。助けてもらうと感激は2倍!
▶批判もユーモアがあると受け取りやすい
こういった感じでOKです。
単にインプット情報だけをメモしているより、ちょっとした気づきを加えるだけで脳みそが働いている気がするでしょう。
この気づきを書く癖をつけておくと、言葉にする力、コメント力があがります。
極端に言えば、気づきを書けなくても、「なぜ、この情報をメモしようと思ったんだろう?」と自問自答するだけで、メモしたことへの意味づけを考えるトレーニングになるはずです。
こういったことが、普段の発言力の違いになっていきます。
会議で意見を求められても、気の利いたことが言えないと悩む人もいるでしょう。そういった人は何も考えていないというより、どのように言葉にしていいのかわからないのではないかと思います。
たとえば「非正規労働者の賃金格差がなかなか是正されない」という話があったとして、自分の考えを聞かれたら「ヤバいですよね」といった、全く意味のない言葉しか出てこないこともあるかもしれません。
ところが普段から外部の情報に対して、自分の考えや感じたことを気づきとして言葉にする習慣をつけていると、少しずつ表現力が養われていきます。
「私は非正規の自由度の高い働き方が好きですが、自分の能力をしっかりPRしないといけないと思いました」とか「企業の利益を守りつつ、公平に評価する方法を考えるべきですね」といった、「私はこう思います」というコメントができるようになるわけです。
森保監督も普段から気づいたこともメモしているから、選手の心に響く一言が言えるのではないでしょうか。
皆さんも、小さなノートを持ち歩き、これは面白いと思った気づきをメモする習慣を身につけて、発言力や考える力を伸ばしてみてはいかがでしょうか。