答えのない時代に、メモが最強の武器になるーー。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この記事では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、W杯で話題になった「森保監督のメモ」に焦点を合わせて、仕事ができる人やトップクラスの人の思考力についてまとめた。
小さなノートに常にメモをする
サッカーのワールドカップで、日本は残念ながら目標のベスト8入りは逃しました。しかしドイツやスペインを破った実力が評価されて、森保監督が使っていたノートが話題になりました。
森保監督は、クロアチア戦のバスの中で、
「日本に不可能はない」「日本人であること 喜び 誇り 幸せにつつまれる」
と思いついたことをメモし、試合前のミーティングで選手に伝えたり、試合中も戦術面で自分が気づいたことをメモして、チームの問題点や改善点のアドバイスを選手に伝えたりするなど、メモを使って考えをまとめていたことがわかります。
ある意味、メモが日本サッカーの成長を促していたといっても過言ではないでしょう。
森保監督が使っていたノートは、コクヨのキャンパスノート。試合用はB6サイズ、練習用は一回り小さいA6サイズだそうです。
私は30年以上コクヨで働いているので、森保監督が手にしているノートに思わず釘付けになりました。
ノート、メモ帳といっても、コクヨには本当に様々な種類やサイズがあり、森保監督と同じタイプのノートだけでも実は7種類のサイズがあります。
この話題がテレビで取り上げられた後、コクヨにも様々な問合せがあり、文房具店でも小さいサイズのノートが売り切れになったという話も聞きました。
では、実際にさまざまなサイズがあるノートの中でどれを選べばいいのでしょうか?
おすすめは常に携帯できるサイズの大きさで、スーツやカバンからすぐに取り出せるものがいいでしょう。具体的には森保監督が使っているようなA6やB6がおススメです。
ただし、デスクワークが多く、ノートをいつも机の上に置いておけるという人であれば、A5もしくは、一番よく見かけるB5のノートでもいいでしょう。
ノートを選ぶポイントは、何かメモしたい情報に触れたときにノートを取り出すのが億劫にならないサイズを選ぶということです。ここが面倒になるとメモを取る習慣が身につきません。
自分のワークスタイルやライフスタイルをイメージしながら「手軽に取り出す」という視点を重視して、ノートを選んでみるといいでしょう。
アウトプットにつながるメモの書き方とは
森保監督は、練習や試合で気づいたことや思ったことを書きとめて、戦術に活かしたり、選手に伝えるメッセージに変換したりしていました。
要するにアウトプットにつながるメモの使い方をしていました。
ところが一般的によく聞くメモの課題に、「メモはしているけどアウトプットに活かせていない」「メモをどう書いていいのかわからない」などがあります。
そんな課題を抱える方に試してほしい1つのコツ。それは、単に自分が得た情報だけをメモするのではなく、それに「気づき」を加えてメモしておくことです。それだけでメモの活用度は変わってきます。
ワールドカップのドイツ戦を例に出したいと思います。
覚えている方も多いと思いますが、ドイツ戦で日本は前半のあいだ終始攻められ続けて、このままだと日本はボロ負けするのではと思われました。ところが後半に守りを4バックから実質的な5バックに変え、ドイツの攻撃を止められるようになったのです。
面白いなと思って、私は次のようなメモを書きました。