「ネットで調べれば正しい情報は何でも見つけられる」。そう思っている人もいるでしょう。しかし、検索ですぐ見つかるような情報は、他の誰かと同じ答えにすぎず、自分らしさや付加価値はありません。そのため、自分の頭で深く思考し、独自の視点で斬新なアイデアを発案できる人材がいま強く求められています。
そこで今回は、手書きのメモで思考を深める極意を明かした『考える人のメモの技術』の著者・下地寛也さんをお招きし、効率のいいインプット法や問題解決のメソッドについて語っていただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)の講演とQ&Aセッションの模様を全2回のダイジェストでお届けします。(構成/根本隼)
手書きのメモを部下に実践してもらう方法とは?
――若手社員に手書きメモを勧めても、なかなか実践してくれません。手書きメモのメリットをどのように伝えれば、行動してもらえるでしょうか?
下地寛也(以下、下地) 難しい質問ですね。メモの取り方に限らず、人の行動は、その人が実際に困って腑に落ちるまではなかなか変えられないと思います。
その前提で、個人的には、自分が手書きメモを実践して結果を出している姿を周りに見せて、「この人のやり方を真似したい」と共感してくれる人を増やすのが結局、近道だと思います。
私はアウトプットのときに付箋をたくさん使ってキーワードを書き出すのですが、誰にも直接教えていないのに、部下の多くがこの方法を自然と真似してくれたことがありました。
「測量野帳」を使いこなすコツとは?
――下地さんお薦めのインプット用ノート「測量野帳」は、どのように使うと便利でしょうか。
下地 初心者にお薦めの活用法は、毎日、何か面白かったことや参考になったことを3つ書いて、それに気づきや感想を添えることです。寝る前の15分で手軽にできるはずです。
これを継続していくと、情報収集力や気づきを加える能力がどんどん高まりますし、毎日1ページずつ使っても、「測量野帳」は40枚綴りなので裏表で80枚、2か月以上持ちます。
また、分厚いノートだと最終的に使い切れないことが多いですが、「測量野帳」はページ数が少ないので、きちんと全部書き切れて達成感を得られるのもポイントですね。
「話のネタに困らない人」はこまめにメモを見返している
――気づきをまとめたインプットメモは、どのタイミングで見返すといいでしょうか。
下地 話のネタになるので、誰かと雑談したいときに見ておくといいと思います。「1週間に1回読み返す」と決めても、結局は習慣にならないことが多いので、いつも手元に持っておいて、「雑談のネタはないかな」という軽い感覚で空き時間にパラパラめくってみてはいかがでしょうか。
ちなみに、仕事ができる人に似たような質問をしてみると、たいていの人が「特に見返すタイミングは決めていない。暇なときはパラパラと見返すようにしている」と答えます。