五輪汚職「底なしの闇」捜査の行方は?JOCの札幌誘致にも冷めた国民の目写真はイメージです Photo:PIXTA

今年「安倍元首相銃撃」と並び、社会をあっと言わせた事件と言えば「五輪汚職」だろう。4年に一度開催される「世界最大のスポーツの祭典」で黒い巨額のカネが動いていた事実が発覚。さらに年の瀬になって組織的かつ大規模な談合が行われていた疑惑が浮上し、東京地検特捜部と公正取引委員会の合同捜査・調査は越年する見通しだ。利権にまみれた底なしの闇に「世界に恥をさらした」と国民の目は冷ややかだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

大会組織委員会元理事が
立件された5つの容疑

 最大の黒幕とされるのは、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の元理事・高橋治之被告(78)=受託収賄罪で起訴=だ。広告大手電通の元専務で、オリ・パラのスポンサー選定などは、実質的に電通からの出向者が3割以上を占める組織委マーケティング局が担当していた。組織委の役員は「みなし公務員」で、職務に関し賄賂を受け取ると収賄の罪に問われる。

 立件された1件目は、紳士服大手「AOKIホールディングス」側から高橋被告が経営するコンサルタント会社「コモンズ」を通じて、スポンサー契約やライセンス商品の製造・販売契約で便宜を図った見返りとして、2017年10月~22年3月に計5100万円を受け取ったとされる。AOKIは大会エンブレム付きのスーツなどを販売していた。

 2件目は出版大手「KADOKAWA」側から電通時代の後輩が経営する「コモンズ2」を通じて、19年7月~21年1月に計約7600万円を受け取ったとされる。KADOKAWAは大会の公式ガイドブックや記録集などを手がけていた。

 3件目は大阪の広告大手「大広」側からコモンズ2を通じて、19年1月~22年2月に計約1500万円を受け取ったとされる。組織委はスポンサー募集を電通に委託していたが、一部を「販売協力代理店」として再委託できる仕組みがあった。

 4件目は広告大手「ADKホールディングス」側から大広と同じ構図で、コモンズや知人が経営するコンサル会社「アミューズ」(解散)を通じ、17年11月~22年1月に計約4700万円を受け取ったとされる。

 5件目はぬいぐるみメーカー「サン・アロー」側からコモンズやアミューズを通じ、18年10月~21年4月に計約700万円を受け取ったとされる。サン・アローは大会マスコット「ミライトワ」「ソメイティ」のぬいぐるみを製造・販売していた。