株式投資をする人たちの間で大きな支持を集めている話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えていくだけで、「株式投資のコツ」や「株の売買タイミング」がつかめる手軽さが人気だ。「チャートを勉強したけど成果が出ない……」。その原因はどこにあるのか。チャートで稼ぐにはどうすれば良いのか。『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に話を聞いた。(取材・構成/伊達直太)
急激な変化に注目して、売買のチャンスをいち早く掴む
チャートを使った株のトレードでは、チャートに出た急激な変化の初動に乗ることが大事です。
売買高の急増とともに突然長い陽線が出れば、それは強い買いシグナルです。大口の投資家や、多くの個人投資家がその銘柄を買い始めたということです。
例えば、ずっと値動きがなかった銘柄が突然10%上がったとします。一方で、同じくらい値動きがなかった別の銘柄が突然5%上がりました。この時、どちらを急いで買うかというと、10%上がった銘柄です。なぜなら、大きく値上がりした銘柄ほど買い手の力が強く、その後もさらに値上がりする可能性が高いからです。
値下がりについても同じです。手持ちの銘柄の中に、急に5%下がった銘柄と10%下がった銘柄がある場合には、10%下がった銘柄を急いで売らなければなりません。
さらに言えば、常に大きな値動きのある銘柄が10%上がるよりも、株価の安定している銘柄が10%上がった時のほうが、その後の大きな上昇を見込めます。ほとんど動きがなかった銘柄が突然値上がりしたということは、新しく出た材料に市場が興味を持ち、多くの人が積極的に買っているということです。
ボリンジャーバンド拡大の初動が、売買のチャンス
チャートを使う売買では、ボラティリティ(以下、ボラ)の変化を見つけることが大事です。ダラダラと上がる(下がる)銘柄ではなく、突然大きく値動きした時、つまりボラが拡大した時こそが大きなチャンスです。
トレーダーの中には、銘柄を絞って売買している人がいます。なぜそんなことをしているのかといえば、その銘柄固有のボラを感覚的に掴めるようにしているからです。1日100円くらい動くのは良くあるけれど、300円以上動くことは少ない、といったことが分かっていれば、ボラの変化に素早く気づくことができるのです。
感覚ではなく、視覚的にボラの変化を見るためには、ボリンジャーバンドが有効です。(関連記事:ボリンジャーバンドとは? ボラティリティとは? 株チャートの見方をわかりやすく解説)
ボラが小さい時はボリンジャーバンドの幅が狭く、ボラが大きくなるとバンド幅が広がります。
詳しくは『株トレ』に書きましたが、バンド幅が狭い時に株価が急上昇し、ローソク足がボリンジャーバンドにタッチした時が、絶好の買いチャンスです。株価が急騰する時には必ずバンド幅が拡大するので、その初動に乗ることができれば、大きく稼ぐことができます。