内定者フォローワークショップ“ツナマル”との出合い
JTの人事関係者と内定者、内定者同士がオンラインで対面する「内定者懇親会」――三島さんの頭を悩ませたのが、内定者たちが行う「ワーク」の内容だった。謎解きゲームのようなものは参加者の絆を深めるためには有効だろう。しかし、ゲームを行う前に、会話重視のプログラムを用意したい――そう考えた三島さんは、企画を練っていく過程で、あるコンテンツと出合った。立教大学経営学部・中原ゼミナール*1 の学生たちが創った「内定者フォローワークショップ“ツナマル”」*2 だ。
*1 立教大学経営学部の中原淳教授のもと、組織開発と⼈材開発について専⾨的に学んでいるゼミ
*2 立教大学経営学部・中原ゼミナールの産学連携プロジェクトの一環として、企業・団体の内定者フォロー用に4つのワークショップが生み出された→「Z世代のZ世代によるZ世代のための内定者フォローワークショップ」
三島 企業の人事担当者向けに開催された、その“ワークショップ体験会”に参加してみました。内定者フォローワークショップ“ツナマル”は完成したばかりで、お披露目的なイベントでした。「(内定者懇親会では)他の内定者と深い話がしたかった」という私自身の実感をベースに、「お互いをあまり知り得ない状態で、ゲームで盛り上がるのは難しい」「内定者の会話量を等しくしたい」という課題を解消できる「ワーク」を探している最中(さなか)のこと。オンラインで行われた体験会には、さまざまな業種の人事担当の方が参加していました。
企業関係者向けの体験会は、ワークショップをつくった学生自身がファシリテーターとなり、参加したビジネスパーソンたちが内定者になりきるかたちで行われた。実際のプログラムどおり、オンラインで100分間。1つのグループに4人ずつが配置され、三島さんはその一人として参加した。
三島 終わってすぐに、「私が求めていたのはこれだ!」と思いました。ひとつひとつのグループが少人数で会話重視のワークだったこと、話す機会が全員に均等にあること、「自己開示」と「相互理解」がメインに据えられていること――「自己開示」ではその人らしさが自然に表れ、お互いを知ったうえでゲームが行われるというプログラムは、私の望んでいたことそのものでした。
内定者フォローワークショップ“ツナマル”は、中原ゼミ生がつくった、“Z世代のZ世代によるZ世代のための内定者フォローワークショップ”のうちのひとつで、参加者の「関係構築」がテーマだ。「つながるアニマル~100分後にゼッタイ仲良くなれるワークショップ~」という名称で、自己開示ワーク→相互理解ワーク→協力ワークの3部構成になっている。
三島 プログラム最後の「協力ワーク」はゲーム形式でしたが、ゲームを行う前に、自己開示と相互理解がしっかりなされていたので、ゲーム中の会話がメンバー間で違和感なく行えました。もちろん、ワークショップ体験会の参加者は、見ず知らずの人事の方ばかりで緊張しました。でも、最初の「自己開示ワーク」が単なる自己紹介ではなく、「ちょっとイラっとくる瞬間」などを披露するといった、その人の個性が分かるものだったので、あっという間に打ち解けていきました。それと、参加者全員が何らかの動物になりきる設定で、「私の好きな食べ物は○○だクマ」というふうに、ひとつひとつの発言に、その動物に応じた語尾を付けることが特徴的でした。発する言葉の気恥ずかしさをメンバー全員が共有することで初対面という殻が破られたと思います。体験会の後には、同じグループの人事の方とつながりができて、いまでは、自社の取り組みの状況を共有し合う間柄になっています。