初対面の内定者たちが十分に打ち解けた理由は…

「自己開示」のパートでは、一人ひとりの話す時間がしっかり確保されていたことに加え、「用意された設問によって、各内定者の個性が見えた」と三島さんは述懐する。昨年度の「内定者懇親会」で三島さん自身が感じた「思うように発言できない」もどかしさは参加学生の胸中にほとんどなかったようだ。

三島 「自己開示」と「相互理解」でお互いのことを知ったうえで、「協力」ワークとなるゲームの実施に進みました。ですから、ゲーム中はよそよそしさもなく、すべてのグループが対話しやすい状況で、みんなが予想以上に打ち解けていたのが印象的でした。体験会で、私自身が“ツナマル”を行(おこな)ったときにも、初対面の社会人同士でもざっくばらんに話をし、意気投合して連絡先を交換するにまで至りましたが、学生たちも同じように余った時間にSNSでの連絡先を交換していました。それぞれが楽しみながらそれぞれの個性を理解し合っているような、古くからの友達みたいな雰囲気で……初めて会ったのに仲良くなれて、短い時間で、かつ、オンラインでもしっかりとつながれることに感動しました。

「内定者フォローワークショップ“ツナマル”」は、「自己開示」「相互理解」「協力」の3つのワークを終えたあとに、「感想共有」の時間を設けている。グループごとにワークショップの「まとめ」を話し合うのだが、「これから、このメンバーとやりたいことは?」という定型の質問を、JTの「内定者懇親会」では、「2023年4月の入社に向けての今の気持ちは?」に変更したという。

三島 コロナ禍では、入社までに会社を訪れる機会が少なく、入社の実感も薄くなっているので、4月に向けての気持ちを内定者同士が生の声で確認し合えたのはとても価値がありました。研修やワークショップのプログラムというものは、最初から最後までがっちりフォーマット化されたものが多いですが、臨機応変にカスタマイズできる部分があるのも良かったです。実際の発言では、「入社が楽しみになりました」という学生が多く、「こういう雰囲気の、こういう同期がいるのだったら、楽しく仕事ができそうなので頑張ります」という声が印象的でした。打ち解けていたグループの(ブレイクアウト)ルームに私がたまたま入っていったら、連絡先を交換しているところで、「三島さんも交換してください」と言われ、「打ち解けすぎでしょ!」と思いましたが……(笑)。会社の公式イベントだからといって、みんなが過剰にかしこまらず、ナチュラルな空気感で「内定者懇親会」を終えることができました。