ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「ガイアナってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

ガイアナ共和国ってどんな国?

 ガイアナは南米大陸の北部に位置する国で、スリナム、ブラジル、ベネズエラと国境を接します。

 ガイアナは、長らくイギリスの植民地だった歴史をもち、南米で唯一英語を公用語としている国です。1831年にイギリス領ギアナとなり、1834年に奴隷制が廃止されたことで、同じくイギリスの植民地であったインドから多くの労働者が入ってきました。1966年にイギリス連邦加盟の独立国となりました。

 国民の4割をインド系が占め、アフリカ系が3割、混血が2割、先住民が1割を占めます。そのため英語の他に、ヒンディー語、ウルドゥ語、ガイアナ・クレオール語、先住民の言語なども使われています。

石油で貧困からの脱出を図る

 中央部の熱帯雨林をはじめ国土に占める森林の割合は8割以上にのぼります。

 主産業は砂糖、米、ラム酒などの農業、エビの漁業、ボーキサイトなどの鉱業で、2020年からは石油の生産が開始されました。それまで貧困国として位置づけられていましたが、石油の採掘と生産により、大幅な赤字だった貿易収支が改善され、急激な経済発展が見込まれています。

 隣国のベネズエラとは、経済的には緊密な関係にあるものの、国土の3分の2を占めるエセキボ地域の領有権問題が残っています。

 なお、イギリス領となる以前は、オランダ西インド会社が支配していて、1740年にオランダ人が建設したニューアムステルダムという地名の美しい港町があります。

「ガイアナってどんな国?」2分で学ぶ国際社会南米大陸北部

ガイアナ共和国

面積:21.5万km2 首都:ジョージタウン
人口:78.8万 通貨:ガイアナ・ドル
言語:英語(公用語)、ガイアナ・クレオール語(英語系)
宗教:プロテスタント34.8%、ヒンドゥー教24.8%、カトリック7.1%
隣接:スリナム、ブラジル、ベネズエラ

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)