ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ベネズエラってどんな国?
ベネズエラは南アメリカ大陸の北部に位置する国で、カリブ海に面します。ガイアナ、ブラジル、コロンビアと国境を接します。ヨーロッパ系と先住民の混血及びヨーロッパ系住民が国民の8割以上を占める国家です。
世界最大級の原油埋蔵量
原油の埋蔵量は世界一で、とくに国の中央部を東西に流れるオリノコ川流域に埋蔵量(超重質油)が多いとされます。石油産業は国有化され、輸出は原油(8割以上)と石油製品でほぼ占められ、石油への依存度が非常に高いです。
深刻な貧困問題を抱え、2000年代に入り、貧困対策を大幅に拡充したところ、物価上昇や失業率、国外流出者の増大を招きました。
1999年のチャベス大統領就任をきっかけに、外交方針が親米から反米に転換しました。豊富な石油資源を背景に多角的な外交を展開。キューバやボリビアなどとともに中南米独自の統合を目指す米州ボリバル代替統合構想(米州ボリバル同盟)を創設し、イラン、ロシアと反米共闘の関係を強化しました。
経済・金融においては中国やトルコとの関係を強め、2019年には北朝鮮に大使館を開設していることから、左派的な国といわれています。
反米の急先鋒としてアメリカを批判してきましたが、ベネズエラにとってアメリカは石油の輸出相手国であり、輸入額全体においてもアメリカはトップです。2019年にアメリカとの外交関係を断絶しましたが、経済的にはいまだ強くつながっており、今後のアメリカとの関係が注目されます。
ベネズエラ・ボリバル共和国
面積:91.2万km2 首都:カラカス
人口:2906.9万 通貨:ボリバル
言語:スペイン語(公用語)、31の先住民の言語(公用語)
宗教:カトリック96%、プロテスタント2%
隣接:ガイアナ、ブラジル、コロンビア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)