もともと、僕たちは感情的な生き物です。「怒り」とは「喜び」や「悲しみ」「楽しい」と同じく、人間が持つひとつの〈感情〉です。怒りの感情をもつのはとても自然なこと。豊富な感情があるのは、人間としての証明みたいなものです。

 よくないのは、一時の感情に流されて、本当に大切な感情を見失うことです。なかでも「怒り」という感情に翻弄されて自分の感情を見失うことが一番危険なことなんです。

 怒りの気持ちは、寂しさ、悲しさ、孤独感など、本来、人とつながりたいのにそれができない、つらい気持ちから生まれるとされています。

「あなたが悪い!」「ひどい!」「やめてよ!」と相手をなじりたくなったとき、本当は心のなかで、あなたはどう感じていますか?本当に伝えたい気持ちはなんですか?

 そんな気持ちの一つひとつに目を向けると、怒りの気持ちはスッと消えていくんです。

 だから、ぼくからの提案です。怒りの感情が生まれたら、クールダウンする時間を取ってください。時間は、〈わずか、5秒〉でOK。できれば10秒。これで成功率、ほぼ100%です。

 怒りがヒートアップしてきたら、「クールダウンする時間をとったほうがいいかも」と思ってください。感情のままに動かず、本当の気持ちに気づけたら、世界が変わって見えますよ。

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人は相手によって
怒り方を変えている

 短気な人って確かにいます。でも、すぐに怒る人って実は短気だから怒っているわけではないんです。怒る前にちゃんと「この人なら怒っても大丈夫」と確認して怒ってたりするんです。

 実際、どれだけ短気な人でも、お店の店員が向井理のようなイケメンだったり、北川景子のようなかわいい女性なら、すぐに怒ったりすることはありません(笑)。

 さらにいえば、相手がマフィアの幹部と知っていたら絶対に怒らないし、大事な取引先の御子息だと知っていたら絶対に怒らないでしょう。

 家で子どもが母親を怒らせたとき「なんで、ママを怒らせるようなことをするの!」とカンカンに怒っていても、学校の先生から電話があればすぐに声色を変えて、冷静に電話に出ます。