イライラする女性写真はイメージです Photo:PIXTA

新人の一挙手一投足にイライラする。家族の言動に大声で注意してしまう――。「相手の態度を変えるため」という大義名分でつい怒ってしまう人も多いですが、じつはそれ、あなたが怒りたいから怒っているだけかもしれません。“怒り”という感情の仕組みやデメリットについて、森瀬繁智『キミは、「怒る」以外の方法を知らないだけなんだ』(すばる舎)より一部を抜粋・編集して紹介します。

怒っているとき
人は思考停止している

 僕がクライアントさんの話を伺っているとき、必ずといっていいほど出てくるのが職場の人間関係やパートナー、家族、知人などに対するイライラ、ムカムカといった怒りの感情です。

 例えば、会社で、新入社員の部下に手取り足取り仕事を教えたにもかかわらず、ミスを連発されたらどうでしょう。きっと誰だってイライラして嫌味のひとつも言いたくなるかもしれません。

 これって会社だけの話ではなく、家庭でもよくある話です。

 例えば、いつも怒ってばかりいるお父さんかお母さんがいたとして、その子どもが「どうして、そんなに怒るの?」って聞けば、おそらく120%ぐらいの確率で、「怒りたくて怒ってるんじゃない!」と答えるでしょう(笑)。

 親にしてみれば、子どものしつけや教育のために、仕方なく怒っていると言いたいのだと思います。

 でも、それははたして本当でしょうか。

 言わずもがな「私は怒りたくて怒っているわけじゃない」と言っている人のほぼ100%は、怒りたいから怒っています。強いて言えば、怒る以外の解決策を知らないか、わからないから仕方なく怒っているのです。

 でも、怒って問題解決につながることってほとんどないどころか、思考停止に陥って問題解決を遠ざけてしまいます。

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怒りを感じたら
5秒クールダウン

 先の「怒りたくて怒ってるんじゃない」にもつながる話ですが、怒っているときは「あなたが約束を守らないから!」「約束を破ったあなたが悪い」といったように、相手のせいだと思っています。

 かつての僕もそうでしたが、怒りっぽい人って、怒らせた相手を罵ります。「僕を怒らせたのは、あなたのせいだ」と相手を責めて、「自分に非はない」ことを主張します。

 でも、相手を責めたり、なじったりしても、きっと気持ちはおさまりません。

 徹底的に謝罪をしてもらえば、少し落ち着くかもしれませんが、そんなことってまれなんです。むしろ、相手を怒らせて、お互いにヒートアップする羽目に陥ります。