毎年、日本中が熱狂する箱根駅伝。しかし、柔道や空手などの日本発スポーツが世界で人気を博しているのに比べて、駅伝は世界では人気がない。実は、駅伝が神道や「祭り」と非常に深いつながりを持っていることも、影響しているのではないだろうか。(ノンフィクションライター 窪田順生)

日本では大人気だけど…
外国では流行らない駅伝

日本では大人気の駅伝ですが、海外では流行りません。
駅伝のルーツをひもとけば、神道との強い結びつきが見つかる。駅伝は日本人にとって、「神事」であり「お祭り」なのではないだろうか? 写真:西村尚己/アフロスポーツ

 今年の「箱根駅伝」も大いに盛り上がった。

 初優勝の東海大、5連覇は逃しながらも驚異の追い上げで見事復路優勝を果たした青学。彼らを往路で引きずり下ろしながらも復路で失速してしまった東洋大などなど、1年間をこの日にかけてきた若者たちが死力を尽くし、たすきをつないでいく姿に、思わず感動したという方も多いのではないだろうか。

 実際、テレビ中継の視聴率は往路復路ともに30%超えと過去最高を記録。ゴールの大手町はもちろんのこと、沿道では100万人ともいわれる観衆がランナーに声援を送った。ここまでくると、もはや「国民的行事」といってもいいだろう。

 そんな盛り上がりを見るたび、いつも不思議で仕方がないことがある。それは、なぜこんなにも人々を熱狂させ、そして感動を与えてくれる素晴らしい競技が、世界に広がらないのか、ということだ。

 ご存じの方も多いと思うが、「駅伝」は日本発祥のスポーツだが、「柔道」「空手」「競輪」などの日本発祥競技が世界へ広がり、多くの国で愛され、五輪種目にもなっているのと比べると、「マイナー」と言わざるをえない。

 一昨年あたりから中国の大学で箱根駅伝の「コピー」が始まったというニュースがあったが当然、パクりなので本家ほど盛り上がらない。韓国も日本統治時代の名残で駅伝自体はあるがかなりマイナー。マラソンが盛んな欧州や、世界的ランナーを多く輩出するアフリカでも、「フランス駅伝でパリっ子が大フィーバー」とか、「ケニア駅伝で這いつくばってゴールしたランナーに国中が感動!」なんてニュースは聞いたことがない。

 では、なぜ「駅伝」は日本人だけにしかウケないのだろうか。

 日本の駅伝という特異な文化に興味を抱き、実際に自らも駅伝に参加するなどして綿密に取材をしたイギリス人のジャーナリスト、アダーナン・フィン氏は著書「駅伝マン――日本を走ったイギリス人」(早川書房)の中で、高度経済成長の原動力にもなった日本人の「和」を尊ぶ思想にピタッとハマった競技だからではないかと考察している。