自衛隊写真はイメージです Photo:PIXTA

いわゆる「財源確保法案」を立案し、今国会に提出することとされた。正式名称は「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」というこの法案は大いに問題があると言わざるを得ない。何がどう問題なのか、問題となり得るのか、について解説していく。(政策コンサルタント 室伏謙一)

「財源確保法案」に透けて見える
財務省の思惑

 去る1月23日、第211回国会(常会)が開会した。6月21日の会期末まで、来年度予算案やさまざまな法案の審議が行われる。今国会における岸田政権の懸案事項の一つといえば、昨年末より議論が続いている防衛費増額のための財源問題である。

 この件については、財源は増税によることで決着がついた、と一般には認識されていることが多いようであるが、実際にはその一部を税によることとする方向性が決まっただけであって、具体的な時期等まで決まったわけではない。税以外の部分については、特別会計の剰余金等の一部の繰り入れや独立行政法人の積立金等の一部の国庫返納、そして歳出改革によることとされ、防衛関係経費をプールしておくために防衛力強化資金を設置することとしている。それらを実施するための法的根拠として、財源確保法案なるものを立案し、今国会に提出することとされた。その法案、正式名称は「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案」である。

 そしてこの法案、大いに問題ある法案であるのだが、全くと言っていいほど詳しく報じられたり、解説されたりすることがない。そこで、本稿において、筆者として気づいた点を中心に、何がどう問題なのか、問題となり得るのかについて解説することとしたい。