「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。(初出:2023年2月24日)
風邪をひいた時の食事 4つのポイント
まだ寒い日が続きます。風邪をひいたり、インフルエンザにかかったりする方も多いです。
お子さんに発熱、鼻詰まり、関節の痛みなど、風邪の症状がでたら、真っ先に食べさせてほしい食材をご紹介します。
① 風邪、発熱時にも「たんぱく質」をしっかり摂る
カラダが感染症とたたかうには、免疫細胞(白血球)がしっかり働くことが大事です。食が細く、たんぱく質が不足気味の子どもは、白血球数が比較的少なめであることが多いです。白血球や病気とたたかう抗体はたんぱく質から作られます。卵、魚、肉、大豆食品(納豆、高野豆腐、豆腐等)のたんぱく質をしっかり食べて早く治しましょう。
消化にいいからとシンプルなおかゆや素うどんを出す方も多いですが、それではたたかう力は回復しにくいので、おかゆに卵を足したりして、たんぱく質の食材をプラスしてください。
② 粘膜などの強化には「ビタミンA」が力を発揮
病原体が私たちの体内に入る経路は、鼻孔や口(食道)、目など、外界とつながる「穴」がスタート地点です。穴の先は粘膜で覆われていて、病原体との主戦場となります。
粘膜で病原体とたたかうIgA(免疫グロブリンA)抗体を作るために力を発揮するのが、ビタミンAです。強い抗酸化力をもったビタミンAが、病原体による炎症を局所で抑え込んでくれます。
野菜など植物に含まれるベータカロテンが、腸でビタミンAに変換されて活用されます。うなぎ、銀だら、あなご、チーズ、卵、のり、しそ、モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草などに含まれています。
③ いつも以上に「抗酸化物質」をしっかりと
風邪、インフルエンザなど感染症による症状のときは、いつも以上に炎症とたたかう抗酸化物質をしっかり摂ると、早く治ることが期待できます。
新鮮な魚と野菜とともに、薬味、スパイス、ハーブなどの抗酸化力がとくに高い食材を摂るとよいでしょう。
④ 炎症に効く「はちみつ」も
はちみつは、病院で処方される一般的な薬と比べて、咳・鼻水などの症状を抑える効果が有意だったという研究があります[*118]。
はちみつには抗菌作用があります。抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれているので炎症を抑える作用があることに加えて、ほかにも栄養素が含まれます。これらが総合的に有用な効果を発揮するのではないかと考えられています。
ただし、子どもに与える場合は、絶対に1歳以上になってからです。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)