『週刊ダイヤモンド』3月11日号の第1特集は「激変! 選ばれるクスリ&治療」です。自分の病気や悩みに本当に効く薬は何か? その答えに迫ります。 (ダイヤモンド編集部 臼井真粧美、野村聖子)
世間が大注目の「アライ」
医師たちの本命は?
大衆薬大手の大正製薬は2月、内臓脂肪減少薬「アライ」(一般名:オルリスタット)について、処方箋がなくても薬局で買える市販薬(OTC医薬品)として製造販売する承認を国から取得した。

この薬は、生活習慣の改善に取り組んでいるものの腹部が太めの大人(腹囲が男性85㎝以上、女性90cm以上)において、内臓脂肪および腹囲の減少に効果があるというもの。ざっくりと言えば、抗肥満薬である。
昨秋に承認が了承されることが明らかになると、テレビの情報番組などでも取り上げられ、世間から非常に大きな注目を浴びた。肥満に悩む人がたくさんいることの表れである。
しかし、である。生活習慣病の治療などで肥満の患者に日々向き合っている医師たちが目下、強い関心を寄せているのはアライではない。
肥満症治療薬として日本で存在するのは、1992年に承認された「サノレックス」(一般名:マジンドール)のみ。この薬は販売をやめている国もあり、かなり古いもの。23年は約30年ぶりに肥満に向けた薬が登場することになる。しかも2剤だ。