転職活動は「準備が9割」
ミドル世代の強みは人脈の活用
こうしたストレスから解放され、時間をかけずに転職先を決めるにはどうすれば良いのか。
「転職活動で一番重要なことは、準備です。準備で9割が決まります。サイトやエージェントは忙しいビジネスパーソンの転職活動において強い味方ですが、準備を念入りに済ませてから登録しないと、時間はかかるし、良いエージェントにも出会えません。短期間で、運に左右されずに内定をつかむには、最初の準備が肝心なのです」
周到な準備こそ、内定への近道なのだ。とにかく「今の職場から離れたい」という気持ちだけで勢い任せに動いてしまうと、自分の利益しか考えていないエージェントの食い物にされかねない。
「サイトやエージェントは、あくまでも新天地へ行くための飛行機にすぎません。操縦するのは自分ですから、転職したい会社という目的地を明確にする必要があります」
そこで最初に考えたいのが、自分が目的地へ行くための“交通手段”だ。
「飛行機以外にも交通手段が多数あるように、転職のルートもさまざまあります。むしろ、『転職先には飛行機で行くべき』という思考が根強い今、サイトやエージェントを経由する転職は競争率が激しいのです。『空路』以外を使うほうが内定への近道という場合もありますよ」
正攻法の転職ルート以外で佐野氏が「ストレスなく転職できる方法」と話すのが、「人的つながり」を利用する方法だという。
「特に、正攻法の転職が難しいミドル世代こそ、長年広げてきた人脈があるのでおすすめの方法といえます。これまでの関わりが既に面接となっているので、自分のことをよく知ってもらった上で、入社を歓迎してもらえるのです。『人的つながり』に頼って転職をすると、その他の応募方法に比べて、仕事への満足度、収入も上がるというデータがあります。紹介などの方法で転職するのは『最終手段』と思われがちですが、真っ先に選ぶ『最初の手段』でいいのです」
一方、目的地未定の状態でとりあえず飛行機に飛び乗ると、飛行機側に都合の良い場所に連れていかれたり、「どこでも良いから早く着陸したい」という気持ちから、手近な場所を選んでしまったりする。
「妥協してたどり着いた新天地は、結局自分の目的が満たされる場所ではありません。そうしてまた、『とにかく今の会社を辞めて、別の会社へ行きたい』という負の連鎖に陥り、ストレスのかかる転職活動を繰り返すことになるのです」