中国や韓国の企業への「制裁」が何かと話題になる昨今。中国の通信機器大手ファーウェイ(HUAWEI)の最新動向とその行方を、調達・購買コンサルタントが考察します。(未来調達研究所 坂口孝則)
米中対立とファーウェイ制裁と半導体
ハリウッド映画では、決して夢を諦めない主人公が出てくる。窮地に陥っても、未来を信じて努力と行動を怠らない。そんなストーリーが世界中の観客の支持を集めてきた。
しかし主人公が、米国が対峙(たいじ)する存在だったらどうだろう。敵国の企業が、世界制覇の夢を諦めずにまい進し続けていたとしたら――。その場合もハリウッド映画よろしく、夢は実現するのだろうか。
前置きが長くなったが、連載『サプライチェーン難問山積』の第12回は、中国の通信機器大手ファーウェイ(HUAWEI)の最新動向とその行方を考えてみたい。
ファーウェイは米中経済戦争において最も注目される企業であり、米国は同社を最も厳しい制裁の対象としている。
2019年、ファーウェイは米国商務省から目をつけられ、米国政府の許可なしには米国の技術を使用できなくなった。ファーウェイのスマートフォンは市場から締め出され、通信機器類に対しては「スパイウェア搭載」の懸念が噴き出した。米国製のシリコンチップがなければスマートフォンは生産できず、ファーウェイはみるみるうちにシェアを落としていった。さらにGoogleのAndroidの使用も禁じられ、米国の逮捕状に基づいてカナダ政府がファーウェイのCFOを逮捕した事件もあった。
こうした一連の出来事を記憶している読者も多いと思う。23年に入ってからは、米国がファーウェイへの全面的な禁輸措置を検討しているとも報じられている。
ところが、ファーウェイは世界制覇の夢を諦めていなかったようだ。というのも、同社の創始者である任正非氏は、「米国との経済戦争によって入手が難しかった1万3000個の部品を代替した」と発言したのだ。