冷え、だるさ、むくみ、疲れ、肩コリ、腰痛、便秘、不眠といったなんとなくの不調。『すごい自力整体』の著者・矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語る。「自力整体」とは「整体施術のプロの技法」を自分におこなえる人気メソッド。今回も本書の監修者で「自力整体」の考案者である矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父さん)をお迎えして、「デスクワークで疲れない方法」をテーマに話をうかがった。(構成/依田則子、写真/榊智朗)
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家

パソコンモニターは「ぼんやり見る」のが正解? 整体プロが教える疲れない5つのポイント

仕事中、ずっとラクでいられる5つのポイント

――オフィスですぐできる、疲れやコリ、痛みの解決に役立つ「自力整体」はありますか?

矢上真理恵(以下「真理恵」):今すぐできるとてもカンタンな方法としては、手首をユラユラ揺すったり引っ張ったり、体をユサユサ動かしたりするだけでもスッキリしますよ。

 これは「自力整体」のワークで多用しているあん摩の「振(しん)せん法」という手技と同じ効果が得られます。

 微細な動きで神経や筋肉を刺激して、コリや痛みをやわらげ、リラックスさせます。

 ほかにも「自力整体」のレッスンの前後でおこなう30秒呼吸法(10秒間吸って、10秒間息を止め、10秒間息を吐く)血行促進に役立ちおすすめです。

――デスクワークの疲れやコリ、痛みを発生させない秘訣があれば教えてください。

矢上裕(以下「裕」):「自力整体」の視点でのポイントは5つあります。私が原稿を書くとき、いつもおこなっている方法を紹介しましょう。

「気」や「血液」の渋滞を解消しますので、疲れ、肩コリ、首コリ、腰痛、眼精疲労、女性の場合は生理痛の解消にも役立ちます。

<デスクワークで疲れない5つのポイント>

1 パソコンモニターは「ぼんやり見る」、モニターは視線が下になるように置く:

 眼精疲労の予防に役立ちます。パソコンモニターをしっかり見ようとすると眼球周辺の筋肉が緊張して眼精疲労から首コリ・肩コリにつながります。マジマジと見ず「ぼんやり見る」ように意識すると筋肉が脱力してラクになります。また、モニターが真正面や少し上すぎると眼球周辺の筋肉に力が入りすぎてしまいます。視線が少しだけ下になるようにモニターを置くと眼球周辺の筋肉はラクになります。

2 ヒザ上を軽くタオルで結んで血流改善:

 オフィスではやりづらいかもしれませんが、血行不良の予防に役立ちます。座っているときヒザが開かないようにヒザの少し上(お皿の少し上)をタオルなどで軽く結びます。これをおこなうと骨盤を起こす(立てる)ことができるので血行がよくなり猫背も予防できます。とくに骨盤後傾や骨盤前傾の方におすすめです。骨盤まわりの血流改善に役立ちますので生理痛もラクになります。

3 頭が首より前に出るのはNG:

 首コリ・肩コリを予防するためにも、本来、頭は胴体の真ん中に乗らないといけません。胴体よりも前に頭がせり出すのが疲れやコリの原因です。もし可能であれば背もたれに枕が付いている椅子が理想。後頭部を枕につければ前のめりにならないように意識しやすいからです。

4 手首の下に台やクッションを置く:

 肩コリや腱鞘炎を予防します。空中に手首を浮かせてキーボードを打つと、腕を持ちあげる筋肉を使うため、肩コリの原因になります。手首の下に台や専用のクッションがあると手の重みをサポートしてくれます。

5 肘(ひじ)掛けのある椅子:

 肩コリを予防します。腕は意外に重量があります。ですから肘(ひじ)掛けに肘を付くだけで力が抜けて肩はラクになります(*オフィス環境によっては難しい場合もありますので参考までに)。

――ウェブ読者のみなさんへ、矢上さんの著書『すごい自力整体』からデスクワークの疲れやコリ、痛みを解消するワークを紹介していただけますか?

パソコンモニターは「ぼんやり見る」のが正解? 整体プロが教える疲れない5つのポイント矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『DVDで覚える自力整体』『DVD3分から始める 症状別 はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗