大型連休が終わり、通常の生活を送るなかで、4月には感じなかったような疲労感を覚えている人は少なくないだろう。その原因は、連休中の睡眠リズムの乱れかもしれない。睡眠が不規則になると、「なかなか寝つけない」「1日中眠気を感じる」といった睡眠障害の症状が出やすくなり、心身の健康も崩れがちになってしまう。
そこで、睡眠の質の改善に役立つのが、25年以上睡眠専門医として活躍している坪田聡氏の著書『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』だ。本書は、短時間の睡眠でも朝スッキリと起きられ、日中もハツラツと活動できる「5時間快眠法」のメソッドを3つのステップで解説している。
本稿では、多くの人が抱えている「睡眠にまつわる悩み」の現状についてご紹介する。(執筆・構成/根本隼)

【睡眠専門医が教える】「眠りの質を劇的に改善する」たった1つの方法とは? Photo:Adobe Stock

睡眠と健康は密接な関係にある

 いま私たちは、PC・スマホの普及で生活の夜型化が進み、つい「睡眠」をおろそかにしがちだ。特に連休中は、夜更かしや「寝だめ」、または「遅寝遅起き」で睡眠リズムが乱れてしまった人もいるだろう。

 しかし、心身の健康を正常に保つには、どんな時でもなるべく「規則正しい睡眠」を維持することが重要だ。眠っている間に、人間の脳や体は疲労から回復し、記憶の整理や身体の成長、壊れた細胞の修復などが促進されるからだ。

 そのため、不規則な睡眠が続くと単に眠気に悩まされるだけでなく、さまざまな弊害が生じてしまう。たとえば、集中力・判断力・記憶力といった精神機能や、物事に取り組む意欲が低下するといわれている。

 また、睡眠不足が慢性的になると、ストレスが増大する。これは、睡眠中の脳が、記憶だけでなくストレスの整理もしてくれているからだ。

9割以上の人が「睡眠に不満」

 しかし、身体的な疲労やストレスをすっかり解消できるほどの快適な眠りを習慣化できている人は少数派だ。

 健康関連機器を扱うフジ医療器(大阪府)が今年1月に公表したアンケート調査によると、「睡眠に関して不満に感じることがあるか?」という質問に対し、なんと93.9%が「不満がある」と回答したという。

 不満の具体的な内容については、「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝スッキリと起きられない」「眠りが浅い」などが代表的なものとして挙げられている。

若い世代では約6割が「不眠症の疑い」

 また、日本睡眠科学研究所の「睡眠白書2021」によると、調査対象のうち「不眠症の疑いが高い」と判断されたのは約半数で、特に20・30代では6割強だったという。多くの人にとって、睡眠改善の必要性があるといえる結果だろう。

※出典:【西川 睡眠白書2021~日本人の睡眠調査~】

 さらに、コロナ禍で、睡眠関連の悩みに質的な変化も起きているようだ。東京医療保健大学が昨年に行なった「睡眠に関する調査」によると、コロナ禍によって「睡眠の悩みが増加した」と答えた人は全体の37.8%で、特に在宅勤務の機会が増えた人にかぎると約7割にのぼった。

 通勤回数が減ったことによる運動量の低下や、日常生活でのストレスの増加、就寝・起床時間の変化による生活リズムの乱れなどが、睡眠の質に影響を及ぼしているといえそうだ。

睡眠の質を劇的に改善する「たった1つの方法」とは?

 職場だけでなく自宅でも仕事のメールがチェックでき、SNSに24時間つながっている私たちの生活は極めてストレスを抱えやすく、良質な眠りを手に入れづらい状況にある。しかし、睡眠の質の向上のために「何をすればいいのか分からない」という人も多いだろう。

 そこで、睡眠に関する悩みを解消して仕事もプライベートも充実させるために、大いに参考になるのが、25年以上にわたって睡眠専門医として活躍している坪田聡氏の著書『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』(ダイヤモンド社刊)だ。

 本書は、短時間の睡眠でも脳と体が回復し、朝スッキリと目覚めて日中もハツラツと活動できるようになる「5時間快眠法」のメソッドを、以下の3ステップで解説している。

1)「即寝・即起き」の技術で、睡眠効率を高める
2)睡眠の「質」を上げ、脳と体を劇的に回復させる
3)5つの「仮眠」で、1日中、疲れ知らずになる

睡眠の良し悪しは「時間」×「質」で決まる

 坪田氏によれば、睡眠の良し悪しは「時間」×「質」のかけ算で決まる。つまり、睡眠の質が低ければ、むやみに長時間眠っても得られる満足度は低くなってしまうのだ。

 逆に、この3つのステップをきちんと踏んだ「5時間快眠法」を通じて質の高い睡眠を実現できれば、睡眠時間を短くしても問題なくスッキリと起床し、日中も元気よく活動できるようになるという。

 次回以降の連載では、『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』より一部を抜粋・編集し、各ステップの具体的なメソッドやコツを紹介していく。