「GX推進法案」の脱炭素化は欧米に10年遅れ、勝負の2020年代に取り残される日本Photo:PIXTA

「2℃目標」達成に深まる危機認識
IPCC第6次報告書のメッセージ

 国連環境計画などで設置された「気候変動に関する政府パネル(IPCC)」による気候変動とその対策に関する第6次評価報告書(3つの作業部会の知見を統合したもの)が、3月20日に公表されたが、その内容は、危機感にあふれたものだ(注1)。

 仮に各国が国連に約束した対策が成功裏に実現しても、21世紀中には全球的な平均気温が、上昇抑制の努力目標である「1.5℃目標」を超えるだけでなく、「2℃目標」の達成すら困難になりつつあるといい、目標実現には2020年代にCO2の排出をどれだけ削減できるかだと、警鐘を鳴らした。

 だが日本で国会審議中の「GX推進法案」の時間軸は欧米各国が掲げるものより、さらに遅いものだ。

 政府による民間の技術開発支援やカーボンプライシング導入を掲げるものの、20年代は助走期間と位置付けられており、この法案では20年代の排出量削減にはほとんど寄与できない見通しだ。

 欧米が20年代を、大規模な脱炭素技術プロジェクトやビジネスを立ち上げる「勝負の年」と位置付けるなかで、日本はこのままでは「脱炭素経済」移行が大幅遅れとなる恐れがある。