1.「良い上司」は、部下の得意なことについての自慢話が多い。「ダメな上司」は、部下の苦手なことについての愚痴が多い。

「良い上司」は部下について話す際に、「アイツはこれができる」「アイツはこれがスゴイ」という自慢話が多い。そして、「こんな面白い部下と仕事ができて幸せだ」と言う

「ダメな上司」は、「アイツは◯◯ができない」「アイツは◯◯が苦手だ」という愚痴が多い。

2.「良い上司」は、機嫌が良さそうに働く。「ダメな上司」は、機嫌が悪そうに働く。

「上司がどのように働いているか」は、部下に大きな影響力がある。そして、「良い上司」は大抵の場合いつも上機嫌だった。心中は分からないが、辛いことや、クレームをもらった時も「機嫌よく、しかしキチンと」対応していた。

 逆に「ダメな上司」は、大抵機嫌が悪そうであった。もちろん、あからさまに当たり散らす、ということは無い。しかし、上司の機嫌が悪いことは皆知っていた。そのような機嫌の悪い上司は大抵の場合、「重要な事を知らされていない」事が多かった。

3.「良い上司」は、「ウチの会社の魅力」をきちんと語ることができた。「ダメな上司」は、「ウチの会社の課題」しか語れなかった。

「良い上司」は、もちろん会社の課題を知っていた。が、それについて言及する時は必ず「ウチの会社、仕事の魅力」についても語っていた。

「ダメな上司」は、「課題」しか見えておらず、部下に「うちの会社のいいところ」を伝えていなかった。

4.「良い上司」は、謝れた。「ダメな上司」は、謝れなかった。

 どんなに能力が高い上司でも、人は必ず間違う。その時の態度は重要だ。

「良い上司」は、自分がまずい指示を出した時には非を認め、謝罪し、次の指示を素早く出した。軌道修正が早かった。

「ダメな上司」は、自分がまずい指示を出した時、それを正当化しようとして多くの時間を使う。軌道修正が遅いのだ。彼らは「謝ると自分の威厳が傷つく」と考えていた。

5.「良い上司」は、「自分と違う考え方をする人」を重視した。「ダメな上司」は、「自分と同じ考え方の人」を重視した。

「良い上司」は、「会社のため、顧客のため」という目的を忘れなかった。ゆえに、「自分と違う考え方をする人」を重視した。それにより課題に多くのアプローチができ、会社や顧客に利益をもたらした。

 逆に「ダメな上司」は、自分と同じ考え方の人ばかりを重視した。「会社や顧客のため」ではなく「自分の保身のため」に仕事をしていたからだ。ゆえに時には自分と違う考え方をする人を排除した。部下はそれを察し、「会社のため、顧客のため」ではなく、「上司の考え方を知ろう」と努力した。それにより、会社や顧客に利益をもたらさなかった。

6.「良い上司」は勉強した。「ダメな上司」は、過去の経験に頼っていた。

「良い上司」は昇進してなお、勉強し続けていた。情報を集め、本を読み、経験から法則を導き、実践から修正する。そして部下からも学ぶ。そういった地道な努力を積み重ねていた。ゆえに、成長した。成長する上司の背中を見て、部下も成長した。そういった上司は「失敗」も成長の糧と考えるので、部下も失敗を恐れなかった。

「ダメな上司」は、昇進すると勉強を止めた。「過去の成功体験」がダメな上司の判断基準であり、それに違反することは許されなかった。ゆえに、成長が止まった。成長が止まった上司は失敗を恐れた。失敗を恐れた上司の元では、部下も失敗できなかった。もちろん、部下の成長も止まった。

 以上の6つが、「良い上司」「ダメな上司」を見分ける基準である。

 まとめると、「良い上司」かどうか見極めるには、社内で評判がいいかではなく、褒めるのがうまいかでもなく、何を考えて仕事しているかを見るしかない。

 結局、思考が言動に現れるのだ。

 ぜひ、みなさんも、この6つの基準を、上司を見極めるためだけでなく、自分が「良い上司」になるための行動基準として使ってほしい。

安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。Twitter:@Books_Apps