力強さを増す日本経済、設備投資拡大を期待させる「期待成長率」の高まりとはPhoto:PIXTA

足元の日本経済
製造業に持ち直しの動き

 日本経済は、サービスなど非製造業の回復が続く一方、製造業が弱めの動きとなり、全体でみると足踏みともいえるかたちになっていた。しかし、ここにきて製造業に持ち直しの動きがみえている。製造業の弱めの動きは、世界的な金融引き締めに伴う世界経済の減速や、半導体など部品の供給制約の影響が大きかったが、こうした状況が変化している。

 世界経済は、米国、ユーロ圏が引き続き力強さを欠いた動きとなっているが、中国経済の持ち直しが確認されている。中国は、いわゆる「ゼロコロナ政策」を転換し、制限措置を緩和した。これにより中国経済は正常化に向かっており、回復している。

 23年1~3月期の中国の実質成長率は前年比+4.5%と、22年10~12月期の同+2.9%から加速した。サービス消費拡大の影響が大きいが、小売売上高における財消費をみると、23年3月(前年比9.1%増)が、1~2月平均(同2.9%増)に比べ、増勢が加速している。こうした動きは、鉱工業生産でもみられており、3月は前年比+3.9%と、1~2月平均の同+2.4%と加速している。

回復する国内自動車生産
鉱工業生産は1月がボトムか

 部品の供給制約による国内自動車生産の下押し圧力も和らいでいる可能性が高い。23年2月は、自動車を含む輸送機械が大幅増産となる中、生産計画から下振れる傾向に解消の動きが出ている。

 23年2月の輸送機械・生産指数は、前月比+14.1%と大幅に上昇しているほか、製造工業生産予測指数をみると、2月の輸送機械の実現率(2月10日時点での見込みに対する生産実績の状況)が+1.1%と、実績が計画に対し上振れしたことが確認されている。予測修正率(2月10日から3月10日の間に変化した3月の実績見込みの変化)も+0.6%だ。

 生産実績が上振れ、さらに生産計画も上方修正されたかたちとなっており、部品の供給制約が和らいでいると十分に考えられる。