「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。

【91歳の医師が明かす】「コレステロール」を怖がる人が損していることイラスト:chichols

卵のコレステロールが心配?

【前回】からの続き たんぱく質が足りていない患者さんに、「卵なら栄養豊富でたんぱく質もとれますよ」とすすめると、「卵はコレステロールが心配だから、あまり食べたくありません」とおっしゃる人もいます。

中高年には、コレステロールにネガティブなイメージを持つ人が多いようです。

その多くは、卵のように食事から体内にとり入れるコレステロールと、血中のコレステロールの混同から起こる誤解なのです。

コレステロールを調整する
深遠なる“人体のしくみ”

そもそもコレステロールは、私たちの身体に必要不可欠な栄養素です。体内の細胞を包む「細胞膜」をつくったり、各種ホルモンの原料となったりしています。

このため、必要量のおよそ8割は、肝臓でつくり出されているのです。食事からとったコレステロールが多くなると、肝臓でつくる量を減らして調整します。

ですから、卵のようにコレステロールが多い食品をとっても、血中のコレステロール値が跳ね上がることはないのです。【次回に続く】

※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。