シン富裕層の投資・節税・相続#2Photo:PIXTA

相続税調査で国税職員が相続人(遺族)と面談する場合、税とは一見関係のない質問をすることが多い。彼らは一体何を探っているのだろうか。特集『シン富裕層の投資・節税・相続』(全24回)の#2では、元国税専門官が「何げない質問」の裏にある意図を解説する。(元国税専門官 小林義崇)

「週刊ダイヤモンド」2023年4月29日・5月6日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

税務調査中の「言葉」に
隠された意図とは

 相続税調査には、所得税や法人税などの税務調査と大きく異なる点が二つある。必要な情報を一番持っている人が亡くなった状況で調査が行われること、そして、一見すると税金と関係なさそうな質問が多くなされることだ。

 相続税とは、基本的に被相続人(遺産を持っていた人)が死亡日時点で持つ財産に対してかかる税金である。相続税調査の最大の目的は、申告書に記載された財産に漏れがないのかをチェックすることにある。

 しかし、被相続人はすでに亡くなっているため、国税職員は残された相続人(遺族)と面談し、手探り状態で話を聞かざるを得ない。

 筆者が東京国税局の新人職員として相続税調査を担当するようになったとき、先輩職員から「いきなり本題に入るな」と教わった。一体なぜなのか。

 そこで、その理由をお伝えするとともに、国税職員がよく聞く「何げない質問」と、その裏に隠れた意図が何なのかを解説しよう。