円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術#8Photo:PIXTA

富裕層優遇という批判をかわすため、相続税と贈与税の一体化が行われるのではないかとの予測が強まっている。それでは、実際にはどのような内容の改正になるのだろうか。特集『円安・金利高・インフレに勝つ!最強版 富裕層の節税&資産防衛術』(全16回)の#8では、相続税に詳しい税理士が、改正内容と対策を予想。そして、仮に法改正で生前贈与がダメになったとしても使える鉄板贈与術を指南する。(税理士 弓家田良彦)

相続税・贈与税一体化、実際はどうなる?
改正内容を予想し、対応策を解説する

 ここ数年、「相続税と贈与税の一体化」がちまたを騒がせています。

 2021年12月に発表された、令和4年の税制改正大綱では「今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」とあります。近く何らかの措置が下されることは間違いなさそうですが、実際の改正の内容はどのようなものになるのでしょうか。

 贈与は、老人世代から若い世代への資金移転の手段として定着しています。特に、年間110万円までは贈与税を無税にする制度は、相続税を抑えたい富裕層に広く浸透しています。「老人世代から若年層に資金移転をしてこの世代に金を使ってもらい経済を回す」のが、これまでの基本的な国の考え方でした。この姿勢を完全に転換して世代間の資金移転を止めることは、経済状況が悪化している今、国としてもあまりやる意思はないのではないでしょうか。

「富裕層が富を独り占めしている、金持ち優遇だ」という批判をかわすため、何らかの改正は行われるとは思いますが、その内容は贈与税と相続税の完全一体化、現状の優遇措置の全面廃止といったドラスティックなものではなく、現実的な路線に落ち着くのではないかと私はみています。

 では、具体的にはどのような内容に改正されるのでしょうか。さらに、仮にそういった改正が行われたとしても使える贈与手段で、意外と知られていない手法もあるのです。しかも、プチ資産家から超資産家まで広く利用できる非常に有効な手段です。次ページで詳しく解説していきます。