「下関は統一教会の聖地」論争の不毛、信者も地元民も寝耳に水だったワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

「下関は聖地」発言に反感持つ人が出ても致し方ない?

「謝罪を表明し、次の国政選挙までSNSのトップに掲げておいて反省すべき」
「読解力がないことが証明されたな」
「知ったかするな、下関の恥さらしめ」

 先ごろ衆議院・山口4区補欠選挙に出馬したジャーナリスト・有田芳生氏の「下関は旧統一教会の聖地」という発言を批判した芸能人らがSNSで叩かれている。

 事の経緯を振り返ろう。

 今回の騒動の発端は、有田氏が選挙演説中に「下関って統一教会(世界平和統一家庭連合=旧統一教会)の聖地なんです」と発言し、それがSNS上で切り取られて炎上したことだ。有田氏本人もツイートされているが、この発言は2年前の旧統一教会幹部の発言に基づいている。教祖・文鮮明氏が日本に入国して80周年を記念した教団の式典が21年3月に開かれ、韓国から来日した方相逸・神日本大陸会長が講演の最後にこのように発言をした。

「山口の下関は聖地と同等の場所です」

 これは信者向けの新聞でも報じられている「事実」だ。そのため有田氏の「聖地発言」を「印象操作」「根拠がない」などと批判したお笑い芸人・田村淳さんや、タレントの国生さゆりさんが逆に「事実をねじ曲げている」「勉強不足」などと「正義の鉄槌」を下されているというわけだ。

 しかも、「軽蔑する」とツイートした国生さんにいたっては、有田氏のもとに「統一教会裁判の弁護士」から名誉毀損に認定されるので訴訟を検討すべきというメールがきたというから、炎上どころでは済まないかもしれない。

 さて、こういう騒動を聞くと、善良な日本人の皆さんの中には、「反日カルト」と腐敗した自民党を叩きのめそうと日々頑張ってくださっているジャーナリスト(有田氏)の足を引っ張るようなことをして恥ずかしくないのか――などと、芸能人に憤りを感じるという方も多いことだろう。

 ただ、田村さんや国生さんの肩を持つわけではないが、彼らのように有田氏の「聖地発言」に対して反感を抱いたり、イチャモンをつけたりしてしまう人が一定数現れてしまうのも、しょうがないのではないかという気もしている。

 ひとくちに「聖地」と聞いても、そこからイメージすることは十人十色だからだ。