買い物をする女性写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人駐在員の拘束が長引くなど、日中関係には不穏な空気が漂っているが、中国人の間では今、空前の「日本ブーム」が巻き起こっている。日本アニメ『すずめの戸締まり』や『THE FIRST SLAM DUNK』が記録的大ヒットを飛ばしたことからも分かるように、彼らの日本への関心はかつてないほど高い。なぜ、中国人はここまで日本を高く評価するようになったのか。そして、日本の何に強い興味を持っているのか。(ジャーナリスト 中島 恵)

中国で今最も多く流れている「海外」ニュースは、日本に関すること

 日本のメディアだけを見ていると気付きにくいが、中国のメディアをチェックすると、日々、日本に関する大量の情報が出回っていて驚かされる。

 3月、音楽家の坂本龍一氏が死去した際は、中国でも速報され、微博(ウェイボー)のホットワードランキングで第1位、SNSでの拡散は日本以上ではないか、と思うほどすさまじかった。SNSには「偉大な坂本先生、安らかに」など追悼コメントが多数投稿され、中国人の坂本氏に対する愛情やリスペクトをひしひしと感じた。

 坂本氏のニュースだけではない。2022年7月、安倍晋三元首相が銃撃されて死去した際なども同様で、その拡散のスピードと関心の高さ、情報量の多さと詳細さに筆者は舌を巻いた。

 むろん、欧米など世界のニュースも中国では報道されているが、ダントツで多いのは日本に関する情報で、政治から芸能ネタまで、他国の情報を圧倒している。なぜ、中国人はここまで日本に強い関心を持ち、日本を評価するようになったのだろうか。