「意識だけ高い人」にはこれしかない

 意識だけ高い部下に対して、「褒めて伸ばす」と主張する方もいるが、経験的に言うと、意識だけ高い人は褒めると努力しなくなるので、逆効果だ。

 もし本当に「意識だけ高い人」を「仕事ができる人」に育てるならば、“褒めるか叱る”はどうでもよく、彼らには徹底して「仕事をやらせる」しかない

 本当にそれ以外、道はないのだ。

 

 海兵隊が登場する映画では、新兵向けの厳しい訓練(ブートキャンプ)が登場する。

 そこでは、厳しい訓練で、生き残るための基礎をイチから叩き込まれ、「自己否定からの変革」を迫られる。

(ちゃんとした)コンサルタントやエンジニアのように、ごまかしの効かない個人技を要求される仕事では、「考え方を変えろ」というのではなく、「厳しいタスク」をこなさせ、その中で本当の実力をつけさせる以外、彼らの居場所はない。

 もちろん、相手に合わせて適度なサポートは必要だが、サポートした上で脱落するなら追わなくていい。

 根本的には、そういう仕事には合っていないのだから、無理強いは不要だし、優しく送り出してあげよう。

 だが、彼が「自己変革したい」と言うのなら、口に見合う実力がつくまで、手を緩めてはならない。

 厳しいようだが、それが、本当の親切ってものなのだ。

安達裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、理系研究職の道を諦め、給料が少し高いという理由でデロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」の経営者として、コンサルティング、webメディアの運営支援、記事執筆などを行う。また、個人ブログとして始めた「Books&Apps」が“本質的でためになる”と話題になり、今では累計1億2000万PVを誇る知る人ぞ知るビジネスメディアに。Twitter:@Books_Apps