主任を困らせた
外国人からの電話
「どなたかお友達に日本語が話せる人いませんか?私の言ってること、分かりますか?でーすーかーらー!日本語分かります?来ていただいても困ります!」
「代理、ちょっと。篠部さんのあの電話だけど、なんかもめてるのかな?」
主任の篠部さんが大声で四苦八苦している様子があまりにも目立ったので、課長代理に尋ねた。
「あの様子なら、相手は外国人でしょうね。電話が終わったら聞いてみます」
その後、課長代理と篠部主任が二人そろって報告に来た。
「フィリピン人の男性から電話があり、預金口座を作りたいらしいんです」
「らしい?」
「日本語が全く話せないって言うんです。断りたいんですが」
篠部主任が鼻息を荒くして続ける。
「でも、篠部さんは口座を作りたいって分かったんだよね?」
「なんとなくですよ。15分もぐだぐだ言われたら分かりますよ、何がしたいのかぐらいは」
「分かったんなら、口座、作ってあげればいいと思うけど。何か問題はある?」
「でーすーかーらー、大体ですね。日本にいて、日本語が話せないのに日本の銀行に口座を作りたいなんて、難しいですよ!本人確認資料の説明なんか全く分かってくれないし、あんな人が窓口に来たら、どんだけ時間がかかるか分かりませんもの」
能力不足の指摘に
逆切れする部下たち
篠部さんはこれまで何度も、この
「でーすーかーらー」
で来店客を怒らせた、我がみなとみらい支店の常習犯である。お客から苦情が出る度に注意をしてきたが、彼女の口癖なんだろう。興奮するとつい口に出てしまう。