米国における製造業の建設投資額の前年比伸び率
米国政府は次世代戦略産業の生産過程を国内に呼び戻す「リショアリング」を推し進めている。昨年夏の関連法案成立後、巨額の補助金支出の影響が早くも統計に出始めている。
米国製造業による建設投資額は今年3月には前年比60%の伸びを記録した。民間の工事費が1割以上高騰している影響はあるが、製造業全体の投資が減速傾向にある中では異様に高い伸びだ。
そのほとんどが、半導体やコンピューター、電気自動車(EV)用バッテリーの生産工場といった「エレクトロニクス関連」である。この分野での相次ぐ工場建設により、米国はテクノロジー覇権を取り戻すとの期待も高まっている。しかし、事はそう単純ではない。
工場建設の増加はリショアリングの序章にすぎない。民間固定資産投資に占める製造業の構造物投資は3.5%と、全体に及ぼす影響は小さいのだ。