東京理科大学の大学生だったとき、夏休みの暇つぶしで突如「そうだ、投資をしよう!」と思い立った。証券口座を開設して、家庭教師のアルバイトで稼いだ貯金を“タネ銭”をほぼ全額投入。知識ゼロ・経験ゼロの状態から投資をしてみたものの、わずか2週間で全額、溶かしてしまった……。そこで投資を諦めず、本腰を入れて勉強。ベンチャー企業に入社してから本領を発揮して、1銘柄だけでも億単位のリターン(売却益)を得るなどして、入社4年で独立。そこで得た投資の最終結論は、常識の真逆をいく「小型株集中投資」という手法だった。その投資法を1問1答のクイズ形式で楽しみながら学べる『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)の著者が、アマチュアだからこそプロに勝てる“儲かる株の見つけ方”を基礎の基礎から応用まで解説する。

FX取引での大儲けに目がくらんだ会社員が失ったものPhoto: Adobe Stock

一晩で800万円を失って
学ばされた2つのこと

【前回】からの続き FX取引の最中、寝落ちしてしまい、一晩にして800万円もの大金を失って学んだことが2つあります。

1つは、自分の許容できるリスク範囲を把握しておくこと。つまり、「自分が許容できないリスクは負うな」ということです。失ったら生活に支障をきたす金額は、リスクにさらさないということです。

FX取引で失った800万円は、もちろん大金ですが、一方で株式投資で大きなリターンを得ていた私にとっては、許容範囲内に収まっていました。

自分のリスク許容範囲を知る

借金して投資をしているわけでも、生活費を削って投資につぎ込んでいたわけでもなく、1000万円のリスクを許容したうえでFX取引をしていたので、その後の生活に支障をきたすということはありませんでした。

その一方で、800万円を失うという現実を突きつけられたことによって、「リスク許容範囲内で投資をする」という一見当たり前のことの大切さを改めて実感したのです。

もし許容できない金額を投じていたら……お金のためにやりたくもない仕事をしたり、精神的に追い詰められたりしていたことでしょう。あれから10年経ちますが、私が相場から撤退しないで投資を続けられているのは、あのときの失敗に学んだこの鉄則を守り続けているからです。

FX取引の鉄則

大きな失敗から学んだもう1つのことは、「FX取引は画面に張りついていないと勝てない」ということ。これも言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、ライフスタイルにも関わる重要なポイントです。

このときの失敗に懲りることなく、時折、FX取引は続けていたのですが、トレード画面に張りついていられるときだけやることを大前提にしています。

数年前にイギリスがEU(欧州連合)を離脱した際も画面に張りついてトレードし、半日もしないうちにFX口座の残高を倍以上にしました。

「お金」を優先して
「信用」を失う行為

一方で、このとき大きな失敗をやらかしています。トレード画面に張りついてFX取引に集中する余り、ある人とのアポイントメントをすっ飛ばしてしまったのです。

アポが入っていることを忘れていたわけではありませんでした。目の前にある“儲けのチャンス”とアポを天秤にかけ、儲けのチャンスを選んでトレード画面の前から離れなかったのです。

私は目の前の「お金」に目がくらみ、「信用」を失うような自分の行動に疑問を感じました。「これはよくないな」と率直に反省したのです。【次回】へ続く

※本稿は『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円 【1問1答】株ドリル』(ダイヤモンド社)の著者によるものです。